眼科で「生理的な飛蚊症」と言われたら|漢方相談で見ること
眼科で「飛蚊症は生理的なもの。慣れるしかない」と言われた。それでも黒い点や糸くずは毎日目に入るし、漢方で飛蚊症が治るなら試したい。そう思って検索している方は多く、その気持ちは自然なものです。先に答えを言うと、生理的な飛蚊症の濁りを消す漢方薬はありません。ただ、影が気にならない方向に向かう道はあります。相談の前に確認してほしいのは、瞳孔を開く眼底検査を受けたかどうか。網膜剥離や網膜裂孔の見落としを防ぐためです。葵堂薬局の相談では目だけを見ず、耳鳴り、ふらつき、睡眠、胃腸の状態から整理します。
この記事では、漢方で期待できること、眼科で確認しておくこと、当店の相談で最初に伺うこと、処方名やツムラの番号で選べない理由、中医学の見立て、よくある質問の順に整理します。読み終える頃には、自分が次に何をすればよいかが決まります。眼科で異常なしと言われたあと、それでも気になって漢方を探している方に向けて書きました。
このページの内容
- 生理的な飛蚊症は、漢方で消えるのか
- 相談の前に、眼科で確認しておきたいこと
- 当店の相談で最初に伺うこと
- 「飛蚊症に効く漢方薬」「ツムラの何番」で選べない理由
- 中医学では飛蚊症をどう見るか
- 血液検査・栄養・生活で見ておきたいこと
- 西岡の考え
- よくある質問
- 自分の場合を整理してほしい方へ
生理的な飛蚊症は、漢方で消えるのか
濁りそのものを消す漢方薬はありません。飛蚊症の多くは、目の中を満たすゼリー状の硝子体が年齢とともに変化し、その一部にできた濁りが網膜に影を落として見えるものです。日本眼科医会は、治療を必要とする病気がなければ、飛蚊症をあまり気にせず、眼科で時々チェックしてもらうよう説明しています。
それでも、影が気にならなくなっていく道はあります。人の脳には、いつも目の前にある邪魔な影を背景とみなして無視する働き、いわば慣れがあります。また、時間の経過とともに濁りの位置が視線の中心からずれて、見えにくくなることもあります。これは当店の相談で西岡がいつも説明していることです。
当店の漢方相談で扱うのは、影ではなく、影を意識する時間を長くしている背景です。睡眠が浅い、疲れが抜けない、耳鳴りやふらつきがある。そうした状態が重なると、影に意識が向きやすくなります。目だけを見るのではなく、この背景を整理していくのが当店のやり方です。
相談の前に、眼科で確認しておきたいこと
漢方相談より先に確認したいのは、瞳孔を開く眼底検査を受けたかどうかです。飛蚊症の一部は、網膜に裂け目ができる網膜裂孔や、網膜がはがれる網膜剥離の前ぶれとして現れます。日本眼科学会は、飛蚊症や光視症が急に増えた場合はできるだけ早い検査が必要としています。日本眼科医会も、60歳前後で突然飛蚊症に気づいた場合はなるべく早く眼科を受診するよう勧めています。当店が相談の最初に眼底検査の有無を伺うのは、こうした病気の見落としを防ぐためです。
眼科を一度受診した後でも、次の変化があれば再受診してください。
- 黒い点や糸くず、墨を流したような影の数が急に増えた
- 影の大きさが大きくなった、形が明らかに変わった
- 暗い場所でも視界の端がピカッと光る(光視症)
- 視界の一部が黒く欠ける、カーテンがかかったように見えにくい(視野欠損)
- 急に霧がかかったようにかすむ、視力が落ちた
強い近視の方、目をぶつけたことがある方、片方の目が網膜剥離になったことがある方、家族に網膜剥離の人がいる方は、日本眼科医会が特に注意を促している方です。眼科で経過観察を受けている方は、自己判断で通院をやめないでください。
危険なサインの見分け方は飛蚊症の原因と危険なサインの記事に、網膜剥離そのものは網膜剥離の症状別ページにまとめています。
当店の相談で最初に伺うこと
眼科で生理的な飛蚊症と言われた方の相談では、最初に次の三つを伺います。
- 瞳孔を開く眼底検査を受けたか。網膜剥離や網膜裂孔が隠れていないかを確かめるためです
- 近視の強さ。強い近視の方は網膜剥離を起こしやすいと日本眼科医会が説明しているためです
- いつ眼科を受診したか、その後に影は増えたか。受診後に増えているなら、漢方より先に再受診です
そのうえで、相談では次のような方が見られます。
眼底検査を受けたかどうか、はっきりしない方
診察は受けたが、瞳孔を開く検査だったか覚えていない、という方は少なくありません。この場合は漢方の話より先に、眼科で眼底検査を受けることをお願いしています。検査の内容と、その後の変化を確認してから相談を進めます。
検査で異常はないが、影が気になって仕方がない方
影の数や形が変わっていないことを確認したうえで、睡眠、疲れ、ストレスの状態を伺います。相談で見ていると、影が気になる時間が長い方ほど、眠りが浅い、休んでも疲れが抜けない、という状態が重なっています。当店が見るのは影ではなく、この重なりのほうです。
耳鳴り、ふらつき、胃腸の不調をあわせて持っている方
飛蚊症の相談で、目以外に毎回伺うのが、耳鳴り、ふらつき、睡眠、胃腸の状態です。中医学では、目と耳、老化に関わる腎、目を養う血を作る胃腸を、一続きのものとして見ます。目だけを整えようとするより、こうした背景から整理したほうが道筋が見えやすくなります。
「飛蚊症に効く漢方薬」「ツムラの何番」で選べない理由
飛蚊症という病名で決まる漢方薬はありません。漢方薬は病名ではなく、その人の体の状態、たとえば冷え、胃腸、睡眠、疲れ方、血の巡りに合わせて選ぶものだからです。同じ飛蚊症でも、目の乾きと腰のだるさがある方と、胃腸が弱く疲れやすい方では、検討する処方が変わります。
ツムラの番号は処方ごとに付いた製品番号で、飛蚊症に対応する番号があるわけではありません。病院で処方される医療用漢方は医師の判断で出されるもので、当店で番号を指定してお渡しすることはできません。当店の相談では、処方名から入るのではなく、体の状態を整理してから、その方に合った漢方薬を検討します。
漢方薬にも副作用や、飲み合わせの注意があります。持病がある方、薬を飲んでいる方、妊娠中・授乳中の方は、相談のときにお薬手帳をお持ちください。
中医学では飛蚊症をどう見るか
中医学では、飛蚊症を目だけの問題とは考えません。目を養う血が足りているか、老化に関わる腎の力が落ちていないか、血の流れが滞っていないか、余分な水分と熱がこもっていないか、というところまで見ます。中医学の眼科では、飛蚊症に近い状態を雲霧移睛(うんむいせい)と呼び、背景として大きく四つの見立てを挙げます。
| 見立て | 体の状態 | 手がかりになる症状 |
|---|---|---|
| 肝腎陰虚(かんじんいんきょ) | 目を養う肝の血と、老化に関わる腎の潤いが不足している | 目の乾き、耳鳴り、頭のふらつき、腰や膝のだるさ |
| 気血両虚(きけつりょうきょ) | 疲れや食事の乱れで、目を養う血と体を動かす気が足りない | 疲れた日ほど影が目立つ、顔色が冴えない、動悸、眠りが浅い |
| 瘀血(おけつ) | 血の巡りが滞っている | 肩こりや頭痛、顔色の黒ずみ、脂っこいものを好む |
| 湿熱(しつねつ) | 余分な水分と熱がこもっている | 目の充血、口が苦い、いらいら、尿が濃い |
相談で耳鳴り、ふらつき、睡眠、胃腸を伺うのは、この見立てを分けるためです。耳鳴りとふらつきは肝腎陰虚の手がかりになり、睡眠と胃腸の状態は気血両虚かどうかを分けます。一人の中で二つが重なることも珍しくありません。処方は、この見立てに体力や併用薬を合わせて検討するもので、病名と一対一では決まりません。各タイプのくわしい説明は飛蚊症を自力で治したい人への記事にあります。
血液検査・栄養・生活で見ておきたいこと
飛蚊症の相談では、健康診断の結果も見せていただいています。日本眼科医会は、出血や炎症で硝子体が濁っても飛蚊症が起こると説明しており、糖尿病、高血圧、脂質異常症は眼底の血管に影響するためです。これらの持病がある方は、目の相談と並行して、主治医の治療を続けてください。
貧血の指標(ヘモグロビン、フェリチン)は、中医学でいう血の不足を考えるときの手がかりになります。数値だけで判断はしませんが、食事の内容と合わせて見ると、目を養う材料が足りているかを整理しやすくなります。
生活で当店が勧めているのは、甘いものと炭水化物を減らす、睡眠を確保する、目のまわりを温める、画面を見る時間を区切る、の四つです。いずれも影を消す方法ではなく、影を増やさず、気にならない状態に近づけるためのものです。くわしい方法は飛蚊症を自力で治したい人への記事に書いています。
西岡の考え
私は、生理的な飛蚊症を「顔に出るシミが、目の中にできたようなもの」と説明しています。目の中には硝子体という透明なゼリー状の組織が詰まっていて、加齢や細胞の酸化によって、このゼリーの一部に濁り、いわば塊やしわができます。その濁りに光が当たると、目の奥のスクリーンである網膜に影が映る。それが、視界をふわふわと漂う黒い点や糸くずです。肌のシミが年齢とともに現れるのと同じように、目の中のゼリーの性質が変わって現れる、目のエイジングサインだと考えています。
シミと同じで、消すことはできませんが、増やさないことと、気にならなくすることはできます。脳には、目の前にある邪魔な影を背景とみなして無視する働きがあります。この慣れが進むには、体が休まっていることが必要です。眠れていない、疲れが抜けない、耳鳴りやふらつきがある。そうした状態では、影に意識が向きやすくなります。だから相談では、目のことより先に、睡眠と胃腸と耳鳴りを伺います。
もう一つ。眼科で「慣れるしかない」と言われて落ち込む方が多いのですが、それは「病気ではない」という安心できる結果でもあります。まず眼底検査でそれを確かめて、そのうえで体を整えていく。その順番を大切にしています。
よくある質問
飛蚊症に効く漢方薬はありますか
飛蚊症という病名に対応する漢方薬はありません。目を養う血が足りないのか、老化に関わる腎の力が落ちているのか、巡りが滞っているのかによって、検討する処方が変わります。
ツムラの何番を飲めばいいですか
飛蚊症に対応する番号はありません。医療用漢方は医師の処方が必要で、当店で番号を指定してお渡しすることもできません。
漢方を飲めば飛蚊症は治りますか
濁りが消えることは期待しないでください。目指すのは、影が増えず、気にならなくなる状態です。
どのくらい続ければ変化が分かりますか
一律には言えません。睡眠や疲れの変化は数週間で気づく方が多い一方、影の気になり方は個人差が大きいです。相談では、飲み始める前に、何をもって変化とするかを一緒に決めます。
眼科の目薬と漢方薬は一緒に使えますか
多くの場合は併用できますが、相談のときに目薬の名前とお薬手帳をお伝えください。眼科の治療や通院を自己判断でやめないでください。
飛蚊症と耳鳴りは関係がありますか
西洋医学では別の症状ですが、中医学では目と耳を同じ腎の働きと結びつけて考えます。飛蚊症と耳鳴りが同時にある方は、肝腎陰虚の見立てで整理することが多いです。
自分の場合を整理してほしい方へ
この記事の要点は三つです。生理的な飛蚊症の濁りを消す漢方薬はない。相談より先に、瞳孔を開く眼底検査を受けたかを確認する。漢方相談では目ではなく、耳鳴り、ふらつき、睡眠、胃腸から整理する。
今日からできることは、影の数と形が変わっていないかを月に一度見ておくこと、睡眠時間を記録することです。眼科で確認することは、眼底検査を受けたか、近視の強さ、次に受診する目安です。
眼科で言われた診断、影の変化、気になっている体の症状(耳鳴り、ふらつき、睡眠、胃腸)を並べて送っていただければ、何から整理すればよいかをお返事します。
何から確認すればよいか迷う方は、お問い合わせフォームからご連絡ください。
じっくり整理したい方には、オンライン漢方相談(全国対応)をご用意しています。
著者
西岡 敬三
漢方の葵堂薬局 代表/薬剤師
西洋医学的な検査データも踏まえて相談を行う漢方専門薬剤師。中医学、漢方、食養生に加え、食べたもので身体ができているをモットーに栄養学の視点も取り入れている。NLPマスタープラクティショナー認定。
著書『心もカラダもラクになる血流の整え方』『病院では教えてくれない西岡式妊活で妊娠まっしぐら』
参考文献
- 公益社団法人 日本眼科医会「黒いものが飛ぶ 飛蚊症」https://www.gankaikai.or.jp/health/08/(確認日 2026年9月17日)
- 公益社団法人 日本眼科医会「飛蚊症と網膜剥離 なぜ?どうするの」https://www.gankaikai.or.jp/health/38/(確認日 2026年9月17日)
- 公益財団法人 日本眼科学会「網膜裂孔」https://www.nichigan.or.jp/public/disease/name.html?pdid=37(確認日 2026年9月17日)
- 公益財団法人 日本眼科学会「網膜剥離」https://www.nichigan.or.jp/public/disease/name.html?pdid=50(確認日 2026年9月17日)