飛蚊症を自力で治したい人へ|悪化させない3つの習慣と眼科の目安

飛蚊症を自力で治したい人へ|悪化させない3つの習慣と眼科の目安

飛蚊症は、自力で消すことはできません。視界に浮かぶ糸くずや虫のような影は、目の中のゼリー状の組織が年齢とともに変化してできた濁りの影で、生活の工夫で取り除けるものではないからです。ただ、影を増やさず、気にならなくしていく方向はあります。その前に一度、眼科で大きな病気が隠れていないかを確認してください。

このページの内容

  1. 飛蚊症は自力では消えない。それでもできることはある
  2. 先に眼科で確認したいサイン
  3. 影を増やさず、気にならなくするための3つの習慣
  4. 中医学では飛蚊症をどう捉えるか
  5. 西岡の考え
  6. よくある質問(目薬、サプリメント、急に増えたとき)
  7. セルフケアで変わらないとき

飛蚊症は自力では消えない。それでもできることはある

飛蚊症の多くは、目の中を満たすゼリー状の硝子体が加齢とともに液体とゲルに分かれ、ゲルの成分が集まって網膜に影を落とすことで起こります。50歳を過ぎると、硝子体が網膜から離れる後部硝子体剥離が起こりやすく、そのときに飛蚊症が急に増えることがあります。日本眼科医会は、この生理的な変化が飛蚊症のもっとも多い原因だと説明しています。

この濁りは、目薬でも生活習慣でも消えません。眼科でも、生理的な飛蚊症は経過観察が基本です。

それでも、影が視線の中心から外れたり、脳が影を無視するようになったりして、気にならなくなる方は多くいます。この記事で「悪化」と呼ぶのは、影が増えること、そして病的な原因が新しく加わることです。自力でできるのは、影を消すことではなく、この二つを起こしにくくし、気にならない状態に近づけることです。

飛蚊症そのものの解説は、飛蚊症の症状別ページにまとめています。

先に眼科で確認したいサイン

飛蚊症の一部は、網膜に裂け目ができる網膜裂孔や、網膜がはがれる網膜剥離の前ぶれとして現れます。放置すると視力に関わるため、次の変化があれば早めに眼科を受診してください。

早めに眼科へ 様子を見てよいことが多い
影の数が急に増えた、大きくなった 何年も同じ影が、同じくらいの数で見えている
視界の端に光が走る 明るい場所でだけ、いつもの影が目立つ
視野の一部がカーテンがかかったように欠ける 眼科で生理的なものと言われ、その後変化がない
急に視力が落ちた

日本眼科学会は、視野の一部が欠ける、急に視力が落ちるといった症状があれば速やかな受診が必要としています。日本眼科医会も、飛蚊症に初めて気づいたときや、光が走るなど新しい症状が加わったときは眼底検査を受けるよう勧めています。強い近視の方、目をぶつけたことがある方、家族に網膜剥離の人がいる方は、特に注意してください。

危険なサインの見分け方は、飛蚊症の原因と危険なサインの記事で詳しく書いています。眼科で経過観察や治療を受けている方は、自己判断で通院をやめないでください。

影を増やさず、気にならなくするための3つの習慣

眼科で病気が除外されたら、ここからが自宅でできることです。当店の飛蚊症の相談で最初に確認しているのも、この3つです。

1.甘いもの・炭水化物と睡眠を見直す

当店の相談で最初に伺うのは、甘いものや炭水化物が多くなっていないかです。次に睡眠が足りているか、そしてストレスの状態です。目の症状なのに食事から聞くのは、食事の乱れが睡眠とストレスの両方に響いて、目の疲れとして表に出ることが多いからです。

甘いものやパン、麺、ご飯が続いている方は、まず間食と夜の炭水化物の量を一週間だけ記録してみてください。減らすかどうかは、記録を見てから決めれば十分です。

睡眠不足は、目の疲れとストレスの両方を強めます。夜遅くまで画面を見ていないか、就寝時刻が日によって大きくばらついていないかを振り返ってみてください。

2.目のまわりを温めて、使いすぎを減らす

目のまわりには細い血管が集まっています。ホットアイマスクや温めた蒸しタオルで目を温めるのは、目の疲れをやわらげる方法として当店が勧めているものです。1日1回、5〜10分を目安にしてください。熱すぎるタオルや、温めながら強くこすることは避けてください。

あわせて、目の使いすぎを減らします。長時間の画面作業では、1時間に一度は画面から目を離して遠くを見る。外出時はサングラスや帽子で強い日差しを避ける。どちらも目全体の負担を減らすための当店の提案で、飛蚊症を消す方法ではありません。

目の疲れと食事の関係は、眼精疲労と食べ物の記事で整理しています。

3.ストレスと付き合う

ストレスが続くと体は緊張し、睡眠も浅くなります。飛蚊症そのものが気になって、それがストレスになる悪循環も相談ではよく見られます。運動、入浴、人と話すなど、自分に合った切り替えを一つ決めておくと、影を意識する時間が減っていきます。

中医学では飛蚊症をどう捉えるか

飛蚊症は、目の中の硝子体という透明なゼリーの変化で起こることが多いのですが、漢方では目だけを見ません。目を養っている血が足りているか、老化に関係する腎の力が落ちていないか、血の流れが滞っていないか、水分の代謝が悪くて濁りがたまっていないか、というところまで見ていきます。

たとえるなら、目はきれいな水をたたえた池のようなものです。池に水を補う力が弱くなっても、水の流れが悪くなっても、底に泥がたまっても、水は濁ります。池の水が濁ったときに、浮いているゴミだけをすくうのではなく、水を補う力、流れ、泥のたまり具合まで見る。飛蚊症を漢方で考えるときも、この「足りないのか」「流れていないのか」「濁っているのか」の三つの方向から整理すると分かりやすくなります。

中医学の眼科では、飛蚊症に近い状態を雲霧移睛(うんむいせい)と呼びます。目の前に蚊や糸くず、雲、黒い点が動いて見える状態を表す言葉で、その背景として次のような見立てが挙げられています。

肝腎不足・精血不足のタイプ(足りない)

中医学では、肝は目に開竅する、と言います。肝がたくわえた血が目を養い、老化や生命力に関係する腎の精も、目の老化と深く関わると考えます。加齢、長年の目の酷使、慢性的な疲れで肝の血と腎の精が減ってくると、目を十分に養えなくなる。これが飛蚊症のもっとも基本になる見立てで、特に中高年の慢性的な飛蚊症では、まずここを考えます。

手がかりは、飛蚊症に加えて、目の乾き、かすみ、視力の低下、腰や膝のだるさ、耳鳴り、疲れやすさです。

気血不足のタイプ(足りない)

疲れ、睡眠不足、食事の乱れが続いて、目を養う血と、体を動かす気が足りなくなった状態です。疲れた日ほど影が目立つ、顔色が冴えない、立ちくらみや動悸がある、眠りが浅い。この見立ての方は、まず睡眠と食事を立て直すことが先で、目だけを何かしても変わりにくいと考えます。

瘀血(おけつ)のタイプ(流れていない)

血の流れがなめらかでなく、目の細い血管や組織の巡りが滞っている、と考えるタイプです。中医学では、気の巡りが滞ると血も滞り、目の組織が濁る、という見方をします。

黒い点がはっきりしている、影の位置が動きにくい、頭痛や肩こりが強い、舌の色が暗い、舌の裏の血管が太く浮き出ている、といった所見を合わせて見ます。血糖の乱れや心臓・血管の病気が背景にある方は、眼科の眼底検査の結果と合わせて考えることが特に大切です。

痰湿(たんしつ)のタイプ(濁っている)

中医学では、脾が飲食物から気と血を作り、水分の代謝にも関わると考えます。脾の働きが弱ると、余分な水分や老廃物が痰湿という濁りになり、それが上にのぼって目を曇らせる、という見立てです。

胃もたれ、むくみ、体が重い、痰が多い、舌の苔が厚い、甘いものや脂の多いものが好き、といったことがヒントになります。当店の相談で、目の症状なのに甘いものや炭水化物から伺うのは、このタイプが飛蚊症の方に少なくないからです。

陰虚火旺(いんきょかおう)のタイプ(足りなくて、熱がこもる)

肝と腎の潤いが足りなくなると、体の中で相対的に熱が強くなり、その熱が目の組織や細い血管に影響する、と考えます。目の乾き、ほてり、寝汗、口の渇き、夕方から症状が強くなる、舌が赤くて苔が少ない、といった所見を合わせて判断します。

一人の中で、いくつかが重なる

これらは、一人に一つとは限りません。相談では、肝腎不足と瘀血、気血不足と瘀血、脾の弱りと痰湿、のように重なっている方のほうが多いくらいです。

中医学ではこれを、土台の不足(本)と、表に出ている濁りや滞り(標)に分けて考えます。50〜70代の慢性的な飛蚊症なら、土台には肝腎と精血の不足があり、表には瘀血や痰湿による濁りがある、という組み合わせがよく見られます。血の流れが悪いから流れをよくすればよい、という単純な話ではなく、水を補う力と、流れと、泥の三つを同時に見る、というのが漢方の考え方です。この見立てによって選ぶ漢方薬は変わるので、飛蚊症という病名だけで漢方薬は決まりません。

三つの習慣との関係で言えば、甘いものと炭水化物の見直しは痰湿、睡眠は肝の血と腎の精、目を温めることは瘀血、ストレスとの付き合い方は気の滞りから瘀血へ進むのを防ぐ方向に、それぞれ向いています。

ただし、ここは必ずセットでお伝えしたいところです。影が突然急に増えた、ピカッと光る光視症が出た、視野の一部がカーテンのように欠ける、急に視力が落ちた。こうしたときは、漢方の体質判断より先に、網膜裂孔、網膜剥離、眼底出血などを除外するために眼科を受診してください。中医学の見立ては、眼科の検査で病気が除外された後に意味を持ちます。

西岡の考え

飛蚊症の相談で私が見ているのは、目そのものより、その方の食事、睡眠、ストレスの状態です。甘いものや炭水化物が続くと、体の糖化が飛蚊症の背景にある可能性があると、私は考えています。これは医学的に確立した事実ではなく、相談現場で多くの方を見てきた私の見方です。

だからこそ、目の症状でも食事から伺います。そこを整えると、目だけでなく体調全体が変わっていく方を、相談の中で見てきました。ただし、これは眼科の検査と治療を置き換えるものではありません。眼科で病気が除外されていることが、すべての前提です。

よくある質問

飛蚊症に効く目薬はありますか

硝子体の濁りそのものを消す目薬はありません。影は目の中のゼリー状の組織にできた濁りが網膜に落とす影で、目の表面にさす目薬が届く場所ではないからです。日本眼科医会が挙げている眼科の治療も、網膜に裂け目ができたときの凝固療法や、網膜剥離の手術で、目薬は含まれていません。

市販の目薬は、目の疲れ、乾き、かゆみ、充血などに向けたものです。さして楽になったとしたら、それは飛蚊症ではなく、一緒に起きている疲れや乾きがやわらいだということです。それ自体は悪いことではありませんが、影が減らないことに落ち込まないでください。

目薬を足すより、影が増えていないかを確かめ、疲れや乾きの原因のほうを見直すほうが実際的です。なお、眼科で処方された目薬は別の目的で出されているので、自己判断でやめないでください。

ルテインやブルーベリーを飲んだら飛蚊症は治りますか

治りません。これらは食品で、病気を治すものとして使うことはできません。法律上も、食品で病気の治療や予防をうたうことは認められていません。

目の健康に関わる栄養素として研究されている成分ではありますが、飲むと硝子体の濁りが消えるという確かな根拠は、私が確認した範囲ではありません。当店でも、サプリメントだけで飛蚊症をどうにかしよう、という考え方はしません。

栄養は、目だけを狙うものではなく、体調全体を支える土台として見ています。サプリメントを足す前に、甘いものや炭水化物の摂り方、食事の間隔を確かめるほうが先です。持病のある方、薬を飲んでいる方は、サプリメントを始める前に医師・薬剤師にお伝えください。

急に黒い点が目の前に出てきて不安です

今までと違う、急に増えた、という変化があるときは、できるだけ早く眼科を受診してください。数日中が目安です。

急に現れた飛蚊症は、網膜に裂け目ができたときや、網膜剥離の前ぶれとして出ることがあります。日本眼科学会は、視野の一部が欠ける、急に視力が落ちる場合は速やかな受診が必要としています。生理的なものか、そうでないかは、見え方だけでは区別できません。眼底検査で初めて分かります。

特に、光が走る、視野の一部がカーテンのように欠ける、急に見えにくい、が重なるときは急いでください。逆に、検査で問題がなければ、その結果が次の一歩の土台になります。

眼科で生理的だから様子を見るしかないと言われましたが、不安でしかたありません

「様子を見る」は「何もできない」ではありません。その言葉は、危険な病気が除外されたという結果でもあります。まずそこは受け止めてよいところです。

そのうえで、多くの方は、影が視線の中心から外れたり、脳が影を無視するようになったりして、少しずつ気にならなくなっていきます。ただ、疲れや睡眠不足、ストレスが続いていると、意識が影のほうへ向きやすくなります。当店の相談でも、影そのものより「気にしている時間」が減ったときに、生活が楽になる方が多く見られます。

この記事の3つの習慣は、そのための土台です。影を消すためではなく、影を意識せずに過ごせる時間を増やすために行います。不安で眠れない、気になって仕事に集中できない、という状態が続いているなら、それ自体が誰かに相談してよい理由です。影が増えた、見え方が変わった、というときは、様子を見ずに眼科を再受診してください。

セルフケアで変わらないとき

生活を整えても影が増える、見え方が変わる、というときは、眼科を再受診してください。眼科で飛蚊症と診断され、慣れるしかないと言われた方の相談例は、眼科で飛蚊症と診断された方の記事にあります。

眼科で異常がないと言われたのに気になり続ける場合は、食事、睡眠、ストレスも含めて整理する漢方相談も選択肢の一つです。妊娠中、授乳中、持病がある方、薬を飲んでいる方は、漢方薬を足す前に医師・薬剤師にお伝えください。オンライン相談は全国から受け付けています。

オンライン漢方相談のご案内 ›

著者

西岡 敬三
漢方の葵堂薬局 代表/薬剤師

西洋医学的な検査データも踏まえて相談を行う漢方専門薬剤師。中医学、漢方、食養生に加え、食べたもので身体ができているをモットーに栄養学の視点も取り入れている。NLPマスタープラクティショナー認定。

著書『心もカラダもラクになる血流の整え方』『病院では教えてくれない西岡式妊活で妊娠まっしぐら』

参考文献

漢方と目の病気について


感染性角膜炎

感染性角膜炎

感染性角膜炎とは、角膜に細菌や真菌(カビ)などが感染して、炎症を起こす病気のこと。


翼状片と漢方

翼状片

翼状片とは、白目を構成する結膜とその下の部分が異常に繁殖して、角膜(黒目)の上に伸びて、かぶさってしまう目の病気です。


ものもらい

ものもらい

ものもらいとは、まぶたにある脂や汗を出す腺に細菌が感染して起こる急性の化膿性炎症のことです。

漢方の葵堂薬局 漢方相談 100選掲載(旧バージョン)
漢方の葵堂薬局 子宝・不妊相談 100選掲載(旧バージョン)
漢方の葵堂薬局 アトピー相談 100選掲載(旧バージョン)

営業時間

月 火 水 木 金 土 日・祝
10:00~12:00 〇 〇 〇 〇 〇 〇 休
12:00~18:00 〇 〇 休 〇 〇 休 休
  • 日・祝・お盆・年末年始は、お休みをいただきます。
  • 漢方カウンセリングは、完全予約制です。「休み」中のご予約は承っておりません。
  • 「休み」中にいただいたメールは、翌営業日にご返信いたします。

Copyright © 2020 漢方の葵堂薬局【大阪】 - 不妊・緑内障・鬱など漢方相談 全国対応