30代後半から急に太りやすくなるのはなぜ|巡りと栄養から考える
「20代の頃と同じ生活をしているのに、30代後半から急に太りやすくなった」「食べる量は変えていないのに体重が落ちない」。そう感じて年齢のせいと諦めかけている方は多く、その気持ちは自然なものです。先に答えを言うと、急に太りやすくなる背景には、加齢による筋肉量の低下と、本人が気づいていない生活習慣の小さな変化、そして女性では月経周期やホルモンの変化が重なっていることがほとんどです。漢方薬に脂肪を溶かす力はありません。まず健康診断で甲状腺、血糖、脂質を確認してください。葵堂薬局の相談では「本当に生活習慣は変わっていないか」を洗い直したうえで、気・血・水の乱れから太りやすくなった背景を整理します。
この記事では、急に太りやすくなる理由、医療機関で確認すること、当店の相談で最初に伺うこと、相談で多いパターン、中医学の見方、食事と栄養、生活、よくある質問の順に整理します。読み終える頃には、自分の太りやすさがどこから来ているか、今日どこから見直すかが決まります。30代後半から40代で、体重や体型の変化に戸惑っている方に向けて書きました。
このページの内容
- なぜ30代後半から急に太りやすくなるのか
- まず医療機関で確認すること
- 当店の相談で最初に伺うこと|本当に生活習慣は変わっていないか
- 相談で多いパターン
- 中医学では太りやすさをどう見るか
- 食事と栄養で見直すこと
- 活動量と睡眠で見直すこと
- 西岡の考え
- よくある質問
- 自分の場合を整理してほしい方へ
なぜ30代後半から急に太りやすくなるのか
一つ目の理由は、筋肉量の低下です。厚生労働省のe-ヘルスネットは、基礎代謝が加齢で低下する主な理由として、筋肉などの除脂肪量の低下を挙げています。体重70kgの男性で、基礎代謝の推定値は20歳代で1,680kcal、50歳代で1,505kcalと、1日でおよそ175kcalの差になります。同じ食事を続けていれば、その分が余ります。
二つ目は、本人が気づいていない生活の変化です。食事の量は同じでも、間食、飲酒量、夜遅い時間の食事、炭水化物や脂質の割合が増えている。在宅勤務や車移動で、運動とは言えないレベルの日常の活動量が減っている。睡眠が削られ、ストレスが増えている。相談で洗い直すと、「変わっていない」と思っていた生活が、実はいくつも変わっています。
三つ目は、女性のホルモンの変化です。30代後半から40代にかけて、月経周期の乱れ、経血量の変化、月経前の不調の悪化が出てくることがあります。当店の相談では、女性ホルモンが減ってくると内臓脂肪がつきやすく、脂質の代謝が落ちやすいと見ています。「体重は同じなのに、お腹周りがきつくなった」「体脂肪率だけが上がった」という場合は、筋肉が減って脂肪に置き換わっているサインです。
基礎代謝そのものの仕組みは加齢とともに基礎代謝が下がる仕組みの記事に、肥満とホルモンの関係は肥満の症状別ページにまとめています。
まず医療機関で確認すること
太りやすさの背景に病気が隠れていることがあります。健康診断や内科で、次の点を確認してください。
- 甲状腺の働き。甲状腺機能低下症では、食べる量が変わらなくても体重が増え、むくみや疲れやすさを伴うことがある
- 血糖と脂質の数値
- むくみ(浮腫)が強い場合は、その原因
- 女性で、月経不順、経血量の変化、月経前の不調の悪化がある場合は、婦人科で相談する
短期間で急に体重が増えた、むくみが強い、動悸や息切れがある、というときは、太りやすさとして様子を見ずに受診してください。
当店の相談で最初に伺うこと|本当に生活習慣は変わっていないか
「生活は変わっていないのに太った」という方に、当店が最初にお願いしているのは、本当に変わっていないかの確認です。次の順に伺います。
- 食事と嗜好品。量は同じでも、間食、アルコール、夜遅い時間の食事、炭水化物や脂質の割合が増えていないか
- 活動量。在宅勤務への移行、車移動の増加、歩数の減少、運動習慣の中断など、日常の活動量が落ちていないか
- 睡眠とストレス。睡眠時間が削られていないか、ストレスが増えていないか。睡眠不足やストレスは食欲を増やし、体が脂肪をため込みやすい状態に傾けます
- 体型の変化。体重は同じなのにお腹周りがきつい、体脂肪率だけが上がった、といった筋肉と脂肪の入れ替わりのサインがないか
- 月経周期。周期の乱れ、経血量の変化、月経前の不調の悪化がないか
- 健康診断の結果。甲状腺、血糖、脂質、むくみ
ここで一つか二つ、はっきりした変化が見つかることがほとんどです。見つかった変化を戻すことが、漢方薬より先の話になります。
相談で多いパターン
太りやすくなったという相談では、次のような方が見られます。
むくみと冷えが続く方
夕方に脚がむくむ、手足が冷える、体が重い。中医学では水分の代謝が滞った状態として見て、水分のとり方、汗のかき方、塩分、活動量を伺います。
イライラして食べてしまう、月経前の不調が強くなった方
ストレスで食欲が止まらない、月経前に甘いものが増える、月経前の不調が以前よりつらい。気の滞りとして見て、ストレスの度合い、睡眠、月経周期を伺います。
のぼせやほてりと便秘がある方
顔がほてる、汗をかきやすい、便秘がち、食欲はある。胃腸が強く、食べ過ぎで体に熱がこもった状態として見て、食事の内容と便通を伺います。
肩こり、頭痛と月経不順がある方
肩や首がこる、頭痛がある、経血の量や色が変わった。血の巡りの滞りとして見て、冷え、月経の状態、睡眠を伺います。
このほか、胃もたれと疲れやすさが重なる方、手足のほてりと口の渇きがあって「食べていないのに太る」という方もいます。一人の中で二つが重なることも珍しくありません。
中医学では太りやすさをどう見るか
中医学では、太り方を一つの問題として扱わず、気・血・水(き・けつ・すい)のどこが乱れているかで見ます。体重を無理に減らすのではなく、太りやすくなった背景を整理する、という考え方です。
| 見立て | 中医学の考え | 手がかりになる症状 |
|---|---|---|
| 水太り(水毒・痰湿) | 水分の代謝が滞り、体に余分な水がたまっている。水分の代謝から整える方向で考える | むくみ、体が重い、雨の日に不調、汗をかきにくい、軟便 |
| ストレス・イライラ(気滞) | ストレスで自律神経が乱れ、代謝が落ちたり、反動で食べ過ぎたりする。気の巡りから整える | イライラ、ため息、胸や脇の張り、月経前の過食、寝つきの悪さ |
| 脂肪ため込み(固太り) | 胃腸が強く、食べ過ぎで体に熱がこもっている。便通と食事の内容から整える | のぼせ、ほてり、便秘、食欲旺盛、口の渇き |
| 血の滞り(瘀血) | 血の巡りが滞り、冷えと月経の乱れを伴う | 肩こり、頭痛、冷え、経血の変化、顔色の暗さ |
| 胃腸の弱り(脾虚) | 消化してエネルギーに変える力が落ち、食べても疲れる | 胃もたれ、食後の眠気、疲れやすさ、むくみ |
たとえるなら、体は薪ストーブです。年齢とともに薪をくべる量が減るのに(筋肉量の低下)、同じ量の燃料を入れ続ければ余ります。煙突が詰まれば(水や気の滞り)燃えにくくなり、火床が弱れば(胃腸)燃料を使いきれません。中医学が見るのは、燃料の量だけではなく、煙突と火床の状態です。
処方は、この見立てに体力、年齢、月経、併用薬を合わせて検討するもので、「太りやすいにはこの漢方」と決まるものではありません。漢方薬は体重を減らす目的で承認されたものではなく、脂肪を溶かすものでもありません。
食事と栄養で見直すこと
当店が勧めているのは、量を減らす制限ではなく、質を選ぶ選択です。お腹いっぱい食べてよいので、糖質や脂質に偏ったものを、体を温めるものやたんぱく質に置き換えていきます。
- 毎食たんぱく質をとる。筋肉の材料が足りないまま活動量だけ増やしても、筋肉は戻らない
- 間食、甘い飲み物、アルコール、夜遅い食事の「増えた分」を戻す
- 炭水化物だけの食事を避け、野菜と発酵食品を加える
- 冷たい飲み物や生野菜ばかりにならないよう、温かい食事を中心にする
「〇〇だけ食べる」「食べない」といった過度な食事制限は勧めません。40代で無理な制限をすると、やつれたり、肌が荒れたり、リバウンドしやすくなります。食品やサプリメントで痩せることはできません。血液検査の結果があれば、貧血の指標や血糖、脂質を食事の内容と合わせて見ます。
活動量と睡眠で見直すこと
e-ヘルスネットは、身体活動を活発に行うことがエネルギー消費を高く保ち、筋肉量の減少を遅らせることにつながると説明しています。運動と呼べるものでなくても、歩数、階段、立って過ごす時間を、減った分だけ戻すことから始めます。
- 在宅勤務や車移動で減った歩数を、意識して戻す
- 睡眠時間を削らない。睡眠不足は食欲を増やし、脂肪をため込みやすい状態に傾ける
- ストレスで食べる癖に気づいたら、食べる前に一週間記録する
- 体重だけでなく、お腹周りと体脂肪率も月に一度見る
西岡の考え
「漢方で痩せますか」と聞かれたら、私はこう答えています。漢方薬だけで脂肪が魔法のように溶けることはありません。漢方が得意なのは、なぜ太りやすくなったのかという背景を、体質の面から見つけることです。水がたまっているのか、気が滞っているのか、熱がこもっているのか、胃腸が弱っているのか。そこを整理して、食事の質と活動量、睡眠の見直しと組み合わせる。漢方薬はその土台を支える役で、生活の見直しとセットで初めて意味を持ちます。
もう一つ。「食事制限をしないと痩せませんか」という質問には、過度な制限は要りません、と答えています。量を減らすのではなく質を選ぶ。お腹いっぱい食べてよいので、糖質や脂質に偏ったものを、体を温めるものやたんぱく質に変えていく。食べないダイエットは、40代では逆効果になりやすいからです。
相談の最初に「本当に生活習慣は変わっていないか」をしつこく伺うのは、そこにほとんどの答えがあるからです。年齢のせいにする前に、増えた分と減った分を一緒に見つけましょう。
よくある質問
漢方で痩せますか
漢方薬だけで自動的に体重が落ちることはありません。太りやすくなった背景を気・血・水の乱れから整理し、食事の質、活動量、睡眠の見直しと組み合わせる、というのが当店の考え方です。
食事制限をしなくても大丈夫ですか
過度な制限は不要です。量を減らすのではなく、糖質や脂質に偏ったものを、たんぱく質と体を温めるものに置き換えていきます。食べないダイエットは、やつれや肌荒れ、リバウンドにつながりやすいので勧めません。
更年期と太りやすさは関係がありますか
関係があると見ています。月経周期の乱れ、経血量の変化、月経前の不調の悪化があれば、婦人科で相談したうえで、相談ではホルモンの変化と生活の変化を分けて整理します。
運動が苦手です
運動と呼べるものは要りません。在宅勤務や車移動で減った歩数、階段、立って過ごす時間を、減った分だけ戻すところから始めてください。
血液検査はどの項目を見ればよいですか
甲状腺の働き、血糖、脂質、貧血の指標です。甲状腺機能低下症は、食べる量が変わらなくても体重が増える病気なので、先に除外してください。
体重は同じなのに、お腹周りだけきつくなりました
筋肉が減って脂肪に置き換わっているサインです。体重だけでなく体脂肪率とお腹周りを記録し、たんぱく質と活動量から見直します。
自分の場合を整理してほしい方へ
この記事の要点は三つです。急に太りやすくなる背景は、筋肉量の低下、気づいていない生活の変化、女性ホルモンの変化の重なり。まず甲状腺、血糖、脂質を確認する。漢方相談では「本当に生活習慣は変わっていないか」を洗い直し、気・血・水の乱れから背景を整理する。
今日からできることは、一週間、食べたもの(間食と飲み物も)、歩数、睡眠時間、月経周期を記録することです。医療機関で確認することは、甲状腺、血糖、脂質、むくみの原因です。
記録した一週間分と、健康診断の結果、体重と体脂肪率の変化を並べて送っていただければ、どの背景が重なっていそうかをお返事します。
何から確認すればよいか迷う方は、お問い合わせフォームからご連絡ください。
じっくり整理したい方には、オンライン漢方相談(全国対応)をご用意しています。
痩せにくい背景を漢方相談でどう見るかは痩せにくい背景を漢方相談ではどう見るかの記事に、肥満と生活習慣病の関係は生活習慣病の始まりは肥満からの記事にまとめています。
著者
西岡 敬三
漢方の葵堂薬局 代表/薬剤師
西洋医学的な検査データも踏まえて相談を行う漢方専門薬剤師。中医学、漢方、食養生に加え、食べたもので身体ができているをモットーに栄養学の視点も取り入れている。NLPマスタープラクティショナー認定。
著書『心もカラダもラクになる血流の整え方』『病院では教えてくれない西岡式妊活で妊娠まっしぐら』
参考文献
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「加齢とエネルギー代謝」https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/food/e-07-002.html(確認日 2026年9月17日)