加齢とともに基礎代謝が下がる仕組み|筋肉量の低下と食事から考える
人は思春期を過ぎて更に年齢を重ねると徐々に基礎代謝が低下していきます。
大きく基礎代謝が低下するのは30代前半と40代~50代で、主に加齢によって訪れる「内分泌機能の低下=ホルモン/代謝酵素」と「活性酸素の蓄積=ミトコンドリア活性低下」、「筋力の低下=燃焼部位の減少」が原因です。

この記事では加齢とともに低下する基礎代謝についてお話させて頂きます。
1.代謝とは
よく耳にする代謝という現象は、一言では表せないほど複雑な化学反応を指します。代謝には「物を作る」代謝反応と「消費する」代謝反応の大きく2つに分類され、代謝を行うことで私たちの生命は維持されています。そして消費する代謝は更に細分化されています。

同化(物質合成)
食べ物から筋肉や血液、ホルモンなど身体を作り出す代謝を「同化」と言います。生命維持には必要不可欠な代謝で、私たちが減らしたい脂肪も同化によって増加します。つまり外部から摂取した物から新たに合成を行う代謝のことです。
異化(消化/燃焼)
食べ物を消化したり、脂肪を燃焼する反応をまとめて「異化」と呼びます。異化の種類には「基礎代謝・生活活動代謝・DIT」の3種類が存在します。
基礎代謝
エネルギーを消費することで「呼吸・体温調節・内蔵機能」などの生命活動を行うことを基礎代謝と言います。基礎代謝を構成する部位は「脳20%・筋肉22%・肝臓21%・腎臓8%・心臓9%・脂肪4%・その他16%」となっています。
生活活動代謝
日常生活を送る上で、身体を動かすことで消費する代謝を生活活動代謝と言います。「運動して痩せる」という代謝もこの生活活動代謝に含まれ、動けば動くほど消費量は多くなり、ここは自分で増やすことができる部分です。
2. 年齢と基礎代謝量
代謝の中でも肥満に大きく関わっているものが、何もしなくてもエネルギーを消費する基礎代謝です。年を取ると太りやすく感じるのは何もしなくても消費されていたエネルギー量が基礎代謝の低下と共に減少してしまうからです。

筋肉量と代謝の関係
よく基礎代謝の低下原因は筋肉量の低下だと言われます。確かに加齢と共に筋肉量は低下しますが、筋肉量の低下は30代前半から緩やかに低下し、急激に低下する年齢は60代半ばという高齢になってからなのです。つまり常々言われている基礎代謝の低下要因は筋肉量だけではないということです。なぜなら、基礎代謝の構成部位の半分以上は内臓が占めており、内臓での基礎代謝量が加齢と共に低下していくからです。
3.加齢と共に低下する代謝
筋肉以外の基礎代謝の低下は主に、ホルモンの生産量の低下や代謝酵素の生産量の低下です。ホルモンや酵素量が低下することで体内での代謝反応も低下し、エネルギー消費量が下がってしまいます。そして加齢と共に蓄積する活性酸素も代謝を低下させる大きな要因なのです。

ホルモン生産の低下
基礎代謝に大きく関わり、脂肪量や体型をコントロールしているものが「性ホルモン」です。男性ですと「テストステロン」女性だと「エストロゲン」がそれにあたります。それぞれの性ホルモンには雌雄を象徴すべき体型のコントロールや脂肪量を減らす働きがあるのですが、加齢と共にホルモン生産量が低下することで中年太りを引き起こします。
代謝酵素の生産低下
代謝を促したり、サポートする酵素や補酵素の総称を代謝酵素と呼びます。一例として脂肪の燃焼に関わる「L-カルニチン」や「コレンザイムQ10」も年齢と共に体内での生産量が低下します。これらの燃焼に関わる代謝酵素の低下はダイレクトに基礎代謝低下に結びつき、肥満の原因と言われています。
活性酸素の増加
加齢とともに増加し、代謝を低下させるものに活性酸素があります。活性酸素は悪者というわけではありませんが、増えすぎてしまうと良くないことも事実です。活性酸素が増加すると脂肪や糖を燃やしてくれるミトコンドリアという機関の活性が低下します。活性が低下することで活動できるミトコンドリア量が減ってしまうので燃焼量が低下し代謝が低下してしまいます。
4.代謝低下とは肉体の老化現象
基礎代謝量が低下してしまう多くの原因は加齢による生理活性物質の減少でした。この加齢による代謝の低下は言い換えれば「老化現象」とも呼べる自然の摂理なのです。この流れに沿って必要なエネルギー量が減るため、年を重ねると食が細くなっていきます。

加齢による低下は、どこまで変えられるか
サプリメントで代謝そのものを若い頃に戻せる、という話には根拠がありません。ホルモンや酵素を外から補えば代謝が上がる、という単純な仕組みにはなっていないためです。
一方で、変えられる部分もあります。基礎代謝のうち筋肉が占める割合は2割ほどですが、筋肉量は使わなければ落ちていきます。また、日常生活で動く量(生活活動代謝)は、意識して増やせる部分です。食事でたんぱく質が足りているかどうかも、筋肉量を保つうえで土台になります。
加齢と付き合っていく
加齢による変化は誰にでも訪れます。一方で、代謝が下がっても食べる量が変わらなければ、摂取と消費の差は開いていきます。体重が増え続ける場合や、健康診断で指摘を受けている場合は、まず内科でご相談ください。
体重が落ちにくいとき、相談で伺っていること
漢方相談では、体重の数字だけを見ることはありません。次のようなことを伺います。
- 毎食たんぱく質が入っているか。朝食が主食だけになっていないか
- 甘いもの、パン、麺類で一日が埋まっていないか
- 胃腸の調子(食後の眠気、胃もたれ、便通)
- 睡眠時間と、寝つき
- 冷え、のぼせ、むくみ
- 健康診断の結果(貧血、血糖、甲状腺など)
- 服用中のお薬
甲状腺の病気や薬の影響で体重が変わることもあります。急に増えた、むくみが強い、疲れが抜けないといった場合は、先に医療機関で確認してください。
漢方薬は体重を落とすための薬ではありません。体力や胃腸の状態、冷えなどを確認したうえで、生活のどこを支えられるかという位置づけで検討します。市販の漢方薬を自己判断でダイエット目的に長く飲むことは避けてください。
自分の場合を整理してほしい方へ
まず質問だけしたい方。食事や生活のことでしたら、LINEでお送りください。
何から確認すればよいか整理したい方。上に挙げた項目を、思い出せる範囲で書き出してお持ちください。
じっくり相談したい方。オンライン漢方相談は、全国どこからでもお受けしています。所要は一時間ほどです。
30代後半からの体重の変化については30代後半から急に太りやすくなるのはなぜにまとめています。
参考文献
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「加齢とエネルギー代謝」(確認日 2026年9月15日)
- 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」(確認日 2026年9月15日)