漢方の葵堂薬局では、全国から漢方相談を承っております。

目の病気・症状

眼精疲労

目の疲れが、寝ても休んでも戻らない。目の奥が重く、肩や首まで固まって、夕方には頭痛がする。そうした状態を眼精疲労といい、ただの疲れ目とは区別されます。目薬を試しても変わらず検索を繰り返している方は多く、その不安は自然なものです。先に答えを言うと、眼精疲労の原因はひとつではないことが多く、目だけを手当てしても戻りにくいことがあります。まず眼科で、眼鏡の度が今の目に合っているか、目の病気が隠れていないかを確認してください。急な視力低下や激しい目の痛みがあれば当日に眼科です。葵堂薬局の相談では、目と関係が深い「肝」の視点から、肩や首のこり、頭痛、睡眠、胃腸、飲んでいる薬まで一緒に整理します。

このページでは、疲れ目との違い、症状、原因、眼科で確認すること、当店の相談で伺うこと、中医学の見方、生活の見直し、よくある誤解、質問の順に整理します。読み終える頃には、自分の目の疲れがどこから来ていて、何から手を付ければよいかが分かります。休んでも目の疲れが取れない方、眼科で異常なしと言われたのに不調が続く方に向けて書きました。

このページの内容

  1. 疲れ目と眼精疲労の違い
  2. 眼精疲労の症状
  3. 眼精疲労の原因
  4. 眼科で確認すること。当日に受診するサイン
  5. 当店の相談で最初に伺うこと
  6. 中医学では眼精疲労をどう見るか
  7. 血液検査と栄養で見ておきたいこと
  8. 今日から見直せる目の使い方
  9. 眼精疲労でよくある誤解
  10. 西岡の考え
  11. よくある質問
  12. 自分の場合を整理してほしい方へ

疲れ目と眼精疲労の違い

違いは、休めば戻るかどうかです。日本眼科学会は眼精疲労を、視作業を続けることで目の痛み、かすみ、まぶしさ、充血などの目の症状や、頭痛、肩こり、吐き気などの全身症状が出て、休息や睡眠をとっても十分に回復しない状態と説明しています。一晩眠って戻るなら疲れ目、戻らずに何日も続くなら眼精疲労として考えます。

この線引きが大切なのは、眼精疲労の背景に、眼鏡の度のずれや目の病気、全身の病気が隠れていることがあるからです。「目が疲れているだけ」と片付けず、休んでも戻らない状態が続くなら、一度眼科で原因を確かめてください。

眼精疲労の症状

目の症状と、目以外の症状が同時に出るのが特徴です。

  • 目の症状:目が疲れる、ぼやける、かすむ、目が痛い、充血する、目が重い、しょぼしょぼする、まぶしい、涙が出る
  • 目以外の症状:肩こり、首のこり、頭痛、めまい、吐き気、だるさ、眠りが浅い

目の疲れで体に症状が出る理由は、はっきりとは分かっていません。見えにくいものを見ようとして姿勢が崩れ、体に余分な力が入って緊張が続くこと、そしてストレスが目と体の両方に同時に影響していることが考えられています。日本眼科医会は、肩こりがひどい場合は遠視が背景にあることがあるとして、眼科で診てもらうよう勧めています。

眼精疲労の原因

原因は大きく四つに分けられます。多くの場合、このうちの一つだけではなく、いくつかが重なって目の負担が増えています。日本眼科医会はこれを、眼の能力、眼の使い方、耐える力の三つのバランスとして説明しています。能力に対して使い方が過剰になるか、耐える力が落ちるか、そのどちらでも眼精疲労は起こります。

1.目の状態:度の合わない眼鏡と目の病気

近視、遠視、乱視、老眼の変化に対して、眼鏡やコンタクトレンズの度が合っていないと、目は常にピントを合わせ続けることになり、負担が大きくなります。日本眼科学会は、度の合わない眼鏡や、老眼の初期に無理な近くの作業を続けることを代表的な原因に挙げています。ドライアイ、緑内障、白内障、斜視や斜位など、目の病気が原因になることもあります。

2.体の病気

風邪やインフルエンザ、更年期、自律神経の乱れ、虫歯や歯周病、耳や鼻の病気などが、目の疲れとして表に出ることがあります。日本眼科医会は、緑内障、糖尿病、神経の病気も眼精疲労の背景として挙げています。

3.目の使いすぎと環境

パソコンやスマートフォンの画面を見続けると、まばたきの回数が減って涙が蒸発しやすくなり、目が乾きます。画面との距離、明るさ、姿勢も負担に関わります。目も腕や足と同じで、使えば使うほど疲れます。

4.ストレス

ストレスが強くなると、不安、いらいら、眠れないといった精神面の症状のほか、体にも高血圧や血行の悪さといった変化が出ます。その一つとして目の疲れが表に出ることがあります。当店の相談でも、ストレスの状態は必ず伺う項目です。

眼科で確認すること。当日に受診するサイン

次の症状があるときは、疲れとして様子を見ず、当日に眼科を受診してください。急に視力が落ちた、目が激しく痛む、頭痛や吐き気を伴う、物がゆがんで見える。日本眼科学会は、急性の緑内障発作では眼圧が急に上がり、眼痛、視力低下、吐き気、嘔吐が起こると説明しています。目の疲れと思っていた症状が、別の病気のサインであることがあります。

緊急のサインがない場合も、休んでも戻らない目の疲れが続くなら、眼科で次の点を確認してください。

  • 眼鏡やコンタクトレンズの度が、今の視力と生活環境(画面までの距離、仕事の内容)に合っているか
  • ドライアイ、緑内障、白内障、斜視・斜位など、目の病気が隠れていないか
  • 肩こりがひどい場合、遠視が背景にないか

日本眼科医会は、目の疲れや痛み、乾き、見にくさなど違和感があれば眼科を受診するよう勧め、半年に一回程度は視力、眼圧、眼底、視野の基本的な検査を受けることを勧めています。

当店の相談で最初に伺うこと

眼精疲労の相談では、最初に次の三つを伺います。

  • 急な視力低下、激しい目の痛み、頭痛、吐き気、物がゆがんで見えるといった症状がないか。あれば相談より先に眼科です
  • 睡眠や休息、生活環境の見直しを1〜2週間試して、戻ったかどうか。ここで戻る目の疲れは疲れ目の範囲で、戻らないときに目以外の背景を一緒に整理します
  • 使っている眼鏡やコンタクトレンズの度が、今の視力と生活に合っているか

そのうえで、相談では次のような方が見られます。

眼鏡の度を何年も変えていない、眼科にしばらく行っていない方

この場合は、漢方の話より先に眼科で度の確認と目の検査をお願いしています。日本眼科学会も、眼精疲労の対処として原因の特定と、眼鏡の作り直しや目の病気の治療を挙げています。度のずれは自分では気づきにくく、ここを飛ばして体の話をしても遠回りになります。

眼科では異常なし。肩や首のこり、頭痛、眠りの浅さが重なっている方

中医学では、目は「肝」と深く関係すると考えます。中医学でいう肝は肝臓そのものではなく、血をたくわえて目を養い、筋肉や腱の緊張、気持ちの高ぶりにも関わる働きの名前です。肩こり、首のこり、頭痛、めまい、睡眠の質、ストレスの有無を伺うのは、目の疲れが肝の状態として体に出ていないかを見るためです。当店の相談でもっとも多いのがこのパターンです。

食欲がない、胃腸が弱い、冷えやのぼせがある方

目を養う血は、食べたものから胃腸で作られます。食欲、胃腸の調子、冷えやのぼせの有無を伺うのは、目に届く材料が足りているか、体の巡りが偏っていないかを見るためです。あわせて、現在飲んでいる西洋薬やサプリメントも確認します。漢方薬との飲み合わせを確認するためと、目の不調と薬の関係を主治医に相談する材料にするためです。

中医学では眼精疲労をどう見るか

中医学には「肝は目に開竅する」という言葉があります。目は肝の働きが表に出る場所で、肝がたくわえた血が目を養うと考えます。眼精疲労を目だけの問題と見ず、肝の血が足りているか、肝の気が滞っていないか、血を作る胃腸が働いているかまで見るのはこのためです。

たとえるなら、目はランプ、肝の血はその油です。油が足りなければ灯りは暗くなり、油の通り道が詰まっても灯りは揺れます。油を作る台所にあたるのが胃腸です。目の疲れを見るとき、灯りの芯だけを直すのではなく、油の量、通り道、台所まで見る。これが中医学の見方です。

見立て 体の状態 手がかりになる症状
肝血不足(かんけつぶそく) 目を養う肝の血が足りない 目の乾き、かすみ、夕方に悪化、顔色が冴えない、眠りが浅い、爪が割れやすい
肝鬱気滞(かんうつきたい) ストレスで肝の気が滞り、緊張が抜けない 肩や首のこり、頭痛、目の奥の張り、いらいら、ため息、月経前に悪化
気血両虚(きけつりょうきょ) 胃腸の働きが落ち、気も血も足りない 食欲がない、疲れやすい、めまい、立ちくらみ、冷え
陰虚火旺(いんきょかおう) 潤いが足りず、熱がこもる 目の充血、のぼせ、ほてり、口の渇き、寝汗

一人の中で二つが重なることは珍しくありません。処方は、この見立てに体力、年齢、併用薬を合わせて検討するもので、「眼精疲労にはこの漢方」と病名で決まるものではありません。


眼精疲労に関する
オンライン漢方相談はこちら >

血液検査と栄養で見ておきたいこと

眼精疲労の相談では、健康診断の結果も見せていただいています。貧血の指標(ヘモグロビン、フェリチン)は、中医学でいう血の不足を考える手がかりになります。血糖や甲状腺の数値は、だるさや疲れやすさの背景を見るのに役立ちます。数値だけで判断はしませんが、食事の内容と合わせて見ると、目に届く材料が足りているかを整理しやすくなります。

目の健康に関わるとされる栄養素と食材、食事の考え方は眼精疲労と食べ物の記事にまとめています。

今日から見直せる目の使い方

日本眼科医会の「パソコンと目」に沿った目安です。

  • 1時間の連続作業に、15分程度の休みを入れる
  • 画面までの距離は40〜50cm。画面の上辺が目より数cm高くなる位置にする
  • 室内の明るさは100〜500ルクス程度にする
  • 長時間のパソコン作業には、その距離に合わせた眼鏡やコンタクトレンズを検討する
  • 意識してまばたきをする。乾きが強いときは眼科でドライアイの確認を受ける

目を温めるかどうかは、状態で分けます。乾きや疲れが中心なら、蒸しタオルやホットアイマスクで温めると楽になることがあります。ただし、充血が強い、痛みがある、腫れているときは温めず、眼科で確認してください。温めれば何でもよい、というものではありません。

自分でできるマッサージやストレッチは眼精疲労のマッサージ・ストレッチの記事に、肩こりや頭痛との関係は眼精疲労が体に及ぼす影響の記事にまとめています。

眼精疲労でよくある誤解

相談の中で、西岡がよく出会う誤解です。

よくある誤解 実際には
目が疲れているだけ 休んでも戻らないなら眼精疲労。眼鏡のずれや目の病気、全身の病気が隠れていることがある
寝れば治る 寝て戻るのは疲れ目。眠っても戻らない状態が続くのが眼精疲労
スマホやパソコンの見すぎだけが原因 使いすぎは原因の一つ。度のずれ、目の病気、体の病気、ストレスが重なっていることが多い
ストレスは関係ない ストレスは目と体の両方に同時に影響する。中医学では肝の気の滞りとして目に出ると考える
市販の目薬をさせば安心 目薬は症状を一時的に楽にするもの。原因の確認にはならない。使い続けても戻らないなら眼科へ
ブルーライトカットさえすれば大丈夫 眼鏡の度が合っているか、休憩を取れているかのほうが先。ブルーライトカットで原因が消えるわけではない
とにかく温めれば良い 乾きや疲れには温めが合うことがあるが、充血や痛み、腫れがあるときは温めない

西岡の考え

私は、眼精疲労を「目の症状として出た、体全体のサイン」として見ています。だから相談では、目の病気を見逃さないための確認を最初に済ませたうえで、1〜2週間の休息で戻るなら疲れ目として扱い、体の話までは進めません。

戻らない方の多くは、肩や首がこり、頭痛があり、眠りが浅く、食欲や胃腸が弱っています。目だけを見ていても、この重なりは見えません。中医学で目と肝を一続きに見るのは、この重なりを整理するためです。私は、目の疲れを訴える方には、目のことより先に、肩、首、睡眠、胃腸、冷えやのぼせ、そして飲んでいる薬を伺います。

もう一つ。眼精疲労は「治す」というより、原因を一つずつ確かめて、減らしていくものだと考えています。眼科で減らせるもの、生活で減らせるもの、体の状態として整えるもの。その仕分けを一緒にするのが、当店の相談です。

よくある質問

葛根湯は眼精疲労に効きますか

葛根湯は眼精疲労の薬ではありません。首や肩のこりを伴う場合に検討されることはありますが、体力や冷え、胃腸の状態によって合わない方もいます。病名や症状名だけで選ばず、相談のときに状態をお伝えください。

眼精疲労に効く漢方薬はありますか

眼精疲労という名前で決まる漢方薬はありません。肝の血が足りないのか、肝の気が滞っているのか、胃腸が弱っているのかで、検討する処方が変わります。

市販の目薬を使い続けてもよいですか

一時的に楽になる目的で使うのは構いませんが、使い続けても戻らないなら、原因の確認のために眼科を受診してください。目薬の種類と回数は、相談のときにもお伝えください。

ブルーライトカットの眼鏡は必要ですか

ブルーライトカットで眼精疲労の原因が消えるわけではありません。先に確認したいのは、眼鏡の度が合っているか、1時間に一度は休めているか、画面との距離が保てているかです。

眼科の治療と漢方相談は一緒に進められますか

進められます。眼科で確認した内容、処方された目薬や薬、お薬手帳をお持ちください。眼科の治療や通院を自己判断でやめないでください。持病がある方、妊娠中・授乳中の方はその旨もお伝えください。

どのくらいで変化が分かりますか

一律には言えません。睡眠や肩こりの変化は数週間で気づく方が多い一方、目の疲れの感じ方には個人差があります。相談では、始める前に何をもって変化とするかを一緒に決めます。

自分の場合を整理してほしい方へ

このページの要点は三つです。休んでも戻らない目の疲れは、疲れ目ではなく眼精疲労として考える。まず眼科で、眼鏡の度と目の病気を確認する。それでも続くなら、肩や首のこり、頭痛、睡眠、胃腸、冷えやのぼせ、飲んでいる薬まで一緒に整理する。

今日からできることは、1時間に一度画面から目を離すこと、睡眠時間と目の疲れの強さを1〜2週間記録することです。眼科で確認することは、眼鏡の度、ドライアイや緑内障などの有無、半年に一回の基本検査です。

眼科で言われたこと、眼鏡の度を最後に変えた時期、肩こりや頭痛、睡眠、胃腸の状態、飲んでいる薬やサプリメントを並べて送っていただければ、何から整理すればよいかをお返事します。


LINEで症状を送る >

何から確認すればよいか迷う方は、お問い合わせフォームからご連絡ください。


お問い合わせ・ご相談予約 >

じっくり整理したい方には、オンライン漢方相談(全国対応)をご用意しています。


眼精疲労に関する
オンライン漢方相談はこちら >

眼精疲労の関連記事

知りたい内容に合わせて、以下の記事をご覧ください。

眼精疲労と食べ物|目の健康に良いとされる成分と食事・栄養の考え方

目の健康に関わる成分と食材、食事の考え方を紹介します。

眼精疲労が体に及ぼす影響|肩こり・頭痛との関係

眼精疲労が肩こりや頭痛など体に及ぼす影響を整理した記事です。

眼精疲労に取り入れたいマッサージ・ストレッチ6選

仕事や家事の合間にできるセルフケアを6つ紹介します。

眼精疲労がひどいときの原因と対処法|VDT症候群と漢方の考え方

画面作業が長い方の目の疲れを、VDT症候群の観点から整理した記事です。

目の疲れがとれないとき|眼精疲労の原因と対処法

目の疲れがとれないときに、原因と対処を順に確かめる記事です。

著者

西岡 敬三
漢方の葵堂薬局 代表/薬剤師

西洋医学的な検査データも踏まえて相談を行う漢方専門薬剤師。中医学、漢方、食養生に加え、食べたもので身体ができているをモットーに栄養学の視点も取り入れている。NLPマスタープラクティショナー認定。

著書『心もカラダもラクになる血流の整え方』『病院では教えてくれない西岡式妊活で妊娠まっしぐら』

参考文献