網膜剥離は予防できる?前ぶれのサインと受診の目安

網膜剥離は予防できる?前ぶれのサインと受診の目安

網膜剥離は予防できるのか。強い近視がある、家族に網膜剥離になった人がいる、片目を手術したことがある。そうした方が「網膜剥離 予防」と検索する気持ちはよく分かります。先に答えを言うと、網膜剥離の発症そのものを確実に防ぐ方法は、日本眼科学会も日本眼科医会も示していません。できるのは、なりやすい人を知ること、目への衝撃を避けること、そして網膜に裂け目ができた段階で見つけることです。飛蚊症が急に増えた、光が走る、視野の一部が欠ける。この変化があれば、当日から翌日のうちに眼科を受診してください。葵堂薬局の相談では、眼科の治療と経過観察を続けることを前提に、目を養う栄養と体の状態を整理します。

この記事では、予防できるのかという問いへの答え、なりやすい人、早期発見のためのサイン、当店の相談で伺うこと、中医学の見方、今日からできること、よくある質問の順に整理します。読み終える頃には、自分が眼科で何を確認し、日常で何に気をつければよいかが決まります。網膜剥離が心配な強度近視の方、片目に網膜剥離や網膜裂孔の治療を受けた方に向けて書きました。

このページの内容

  1. 網膜剥離は予防できるのか
  2. 網膜剥離になりやすい人
  3. 「予防」の実体は早期発見。すぐに眼科へ行くサイン
  4. 当店の相談で伺うこと
  5. 中医学では目と網膜をどう見るか
  6. 血液検査・栄養・今日からできること
  7. 西岡の考え
  8. よくある質問
  9. 自分の場合を整理してほしい方へ

網膜剥離は予防できるのか

発症そのものを確実に防ぐ方法はありません。網膜剥離は、眼の奥で光を感じ取る網膜が、下の組織から剥がれて浮き上がる病気です。もっとも多い裂孔原性網膜剥離は、網膜に裂け目(裂孔)ができ、そこから眼の中の液体が入り込んで網膜が剥がれていきます。裂け目ができる主な理由は、加齢で硝子体が収縮して網膜を引っ張ることで、これは生活習慣で止められる変化ではありません。日本眼科学会の解説にも、日本眼科医会の解説にも、発症を防ぐ方法は書かれていません。

それでも、できることは三つあります。一つ目は、自分がなりやすい人に当てはまるかを知ること。二つ目は、目に強い衝撃を与えないこと。三つ目は、網膜に裂け目ができた段階で見つけて、剥離に進む前に治療を受けることです。この三つ目が、実際には「網膜剥離の予防」と呼ばれているものの中身です。

網膜剥離そのものの原因や症状、眼科での治療は網膜剥離の原因と症状の記事と網膜剥離の症状別ページにまとめています。

網膜剥離になりやすい人

日本眼科医会は、強度の近視、片方の目が網膜剥離を起こしたことがある、家族に網膜剥離になった人がいる場合に発病しやすい傾向があると説明しています。年齢では20代の若い人と50代以上に多く、目の外傷、眼内手術の後、アトピー性皮膚炎も危険因子として挙げられています。日本眼科学会も、強度近視、外傷、家族歴のある方に多いとしています。

当てはまる方は、自覚症状がなくても定期的に眼底検査を受けることが、もっとも確実な備えになります。アトピー性皮膚炎で目のまわりがかゆい方は、目を強くこすったり叩いたりしないことも、目への衝撃を避けるという意味で大切です。

「予防」の実体は早期発見。すぐに眼科へ行くサイン

網膜に裂け目ができただけの段階(網膜裂孔)なら、レーザー光凝固で裂け目の周囲を焼き固め、網膜剥離への進行を防げることがあります。日本眼科学会は、飛蚊症や光視症が急に増えた場合はできるだけ早い検査が必要としています。剥離が黄斑という中心の部分に及ぶ前に治療できれば、術後の視力回復が良好とされています。つまり、変化に早く気づいて眼科に行くことが、網膜剥離の「予防」の実体です。

次の変化があれば、様子を見ずに当日から翌日のうちに眼科を受診してください。

  • 飛蚊症(黒い点や糸くず、墨を流したような影)が急に増えた
  • 光視症(暗い場所でも視界の端に光が走る)が出た、または強くなった
  • 視野の一部が欠ける、カーテンが下りてくるような感覚がある、それが広がってきた
  • 視力が急に落ちた、物がゆがんで見える(変視症)

これらは網膜裂孔や網膜剥離で起こる変化で、痛みはありません。痛くないから大丈夫、と判断しないでください。片目ずつ手で隠して見え方を確かめると、左右差や視野の欠けに気づきやすくなります。飛蚊症のうちどれが危険なサインかは飛蚊症の危険なサインの記事に書いています。

当店の相談で伺うこと

網膜剥離に関する相談は、実際にあります。多いのは次の三つです。

網膜裂孔でレーザーを受けた、または片目が網膜剥離になった方

この場合、当店が最初に確認するのは、眼科の経過観察が続いているかどうかです。剥離の拡大や再発、黄斑部への影響がないかは眼科でしか確かめられません。そのうえで、飛蚊症が急に増えていないか、光視症の有無や強さ、視野の欠けやカーテンのような感覚が広がっていないか、視力の急な低下やゆがみがないかを伺います。変化があれば、相談より先に眼科です。

強い近視があり、網膜剥離が心配な方

自覚症状がなくても定期的に眼底検査を受けているか、片目ずつの見え方チェックをしているかを伺います。そのうえで、スマートフォンやパソコンの長時間の近距離作業、目を強くこすったり叩いたりする癖、頭や目に強い衝撃や振動がかかるスポーツについて確認します。

飛蚊症が気になって、網膜剥離ではないかと不安な方

瞳孔を開く眼底検査を受けたか、その後に影が増えたかを伺います。検査で病気が否定されているなら、飛蚊症の相談として、目以外の体の状態を整理していきます。くわしくは眼科で生理的な飛蚊症と言われた方の記事にあります。

中医学では目と網膜をどう見るか

中医学では、目は肝の血に養われ、老化に関わる腎の力に支えられていると考えます。肝は目に開竅する、という言葉があり、肝の血が足りないと目は乾き、かすみ、疲れやすくなります。腎の精は体の成長と老化を司り、目の老化とも深く関わると考えます。網膜剥離の背景にある加齢や強度近視を、中医学ではこの肝と腎の力の消耗として見ます。

たとえるなら、網膜は薄い壁紙のようなものです。壁紙が剥がれるかどうかは、壁紙そのものの状態だけでなく、壁の湿気や糊の質にも左右されます。中医学が見るのは、この壁の状態にあたる、目を養う血の量、巡り、余分な水分のたまり方です。ただし、壁の状態を整えても壁紙が剥がれないとは限りません。剥がれたときに直せるのは眼科だけです。

見立て 体の状態 手がかりになる症状
肝腎不足(かんじんぶそく) 目を養う肝の血と、老化に関わる腎の力が消耗している 目の乾き、かすみ、耳鳴り、腰や膝のだるさ
気血不足(きけつぶそく) 疲れや食事の乱れで、目を養う血と体を動かす気が足りない 疲れやすい、顔色が冴えない、眠りが浅い、立ちくらみ
瘀血・痰湿(おけつ・たんしつ) 血の巡りが滞り、余分な水分がたまっている 肩こり、頭重感、むくみ、脂っこいものや甘いものを好む

大切なのは、この見立てが網膜剥離を防ぐことを約束するものではない点です。中医学の見立ては、眼科の治療と経過観察を続けながら、目を支える体の状態をどう整えるかを考えるためのものです。処方は、見立てに体力や併用薬を合わせて検討するもので、病名と一対一では決まりません。

血液検査・栄養・今日からできること

糖尿病がある方は、網膜に穴があかないタイプの牽引性網膜剥離の原因になるため、血糖の管理を主治医の指示どおり続けてください。健康診断の結果を相談で見せていただくのは、目に影響する持病を見落とさないためです。

栄養については、目を養う材料が足りているかを食事の内容から整理します。特定のサプリメントで網膜剥離を予防できるという根拠は示されていません。栄養は体調の土台として考え、定期的な検診と合わせてお考えください。

今日からできることは次のとおりです。

  • 自覚症状がなくても、定期的に眼底検査を受ける。間隔は主治医に確認する
  • 月に一度、片目ずつ隠して見え方を確かめる。左右差、視野の欠け、ゆがみがないかを見る
  • スマートフォンやパソコンの近距離作業は、1時間に一度は目を離して遠くを見る
  • 目を強くこすらない、叩かない
  • 頭部や目に強い衝撃や振動がかかるスポーツは避けるか、保護具を使う
  • 強い近視や糖尿病などの持病は、主治医の治療を続ける

西岡の考え

網膜剥離は、網膜に穴や裂け目ができて剥がれる病気で、進行すると失明のリスクがあります。ですから、眼科でのレーザー治療や手術が不可欠です。ここに漢方の出番はありません。私はこの点を、相談の最初にはっきりお伝えしています。

そのうえで、漢方相談でできることは、網膜剥離そのものを治すことではありません。目を養う栄養が足りているか、巡りが滞っていないか、余分な水分がたまっていないか。そうした体の状態を整理して、眼科の治療と経過観察を続ける方の目の健康を支えることです。片目に治療を受けた方が、もう片方の目のために体を整えたい、と相談に来られることもあります。そのときも、眼科での定期検査が土台で、漢方はそれを支える立場だと考えています。

よくある質問

網膜剥離は予防できますか

発症そのものを確実に防ぐ方法はありません。できるのは、なりやすい人を知り、目への衝撃を避け、裂け目の段階で見つけて治療を受けることです。

目のサプリメントで網膜剥離は予防できますか

サプリメントで網膜剥離を予防できると言い切れる根拠は示されていません。栄養は体調を整える土台として考え、定期的な検診と併せてお考えください。

スマートフォンの見すぎで網膜剥離になりますか

スマートフォンの使用が網膜剥離の直接の原因とはされていません。ただし近距離作業が長いと目の負担になるため、時間を区切ることをお勧めしています。

片目に起きた場合、もう片方の目も注意が必要ですか

片方の目が網膜剥離になった方は、もう片方も発病しやすい傾向があると日本眼科医会が説明しています。経過観察の間隔は主治医の指示に従ってください。

網膜裂孔と言われました。どうすればよいですか

眼科の指示どおりにレーザー治療や経過観察を受けてください。裂け目の段階で治療できれば、剥離への進行を防げることがあります。治療後も、飛蚊症の増加や光視症があれば早めに受診してください。

レーザーや手術の後に漢方相談をしてもよいですか

眼科の経過観察を続けていることが前提であれば、相談できます。治療内容と現在の見え方、お薬手帳をお持ちください。持病がある方、薬を飲んでいる方、妊娠中・授乳中の方は、その旨もお伝えください。眼科の治療をやめる、通院の間隔を自己判断で延ばす、といったことはしないでください。

自分の場合を整理してほしい方へ

この記事の要点は三つです。網膜剥離の発症を確実に防ぐ方法はない。「予防」の実体は、なりやすい人が定期的に眼底検査を受け、変化があればすぐ眼科に行くこと。漢方相談は眼科の治療を続ける方の体の状態を整理するもので、網膜剥離を治すものではない。

今日からできることは、片目ずつの見え方チェックを月に一度行うこと、次の眼底検査の予定を確認することです。眼科で確認することは、自分がなりやすい人に当てはまるか、検査の間隔、受診を急ぐサインです。

眼科で言われたこと、治療の内容、いま気になっている見え方や体の状態を並べて送っていただければ、何から整理すればよいかをお返事します。

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著者

西岡 敬三
漢方の葵堂薬局 代表/薬剤師

西洋医学的な検査データも踏まえて相談を行う漢方専門薬剤師。中医学、漢方、食養生に加え、食べたもので身体ができているをモットーに栄養学の視点も取り入れている。NLPマスタープラクティショナー認定。

著書『心もカラダもラクになる血流の整え方』『病院では教えてくれない西岡式妊活で妊娠まっしぐら』

参考文献

漢方の葵堂薬局 漢方相談 100選掲載(旧バージョン)
漢方の葵堂薬局 子宝・不妊相談 100選掲載(旧バージョン)
漢方の葵堂薬局 アトピー相談 100選掲載(旧バージョン)

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