漢方の葵堂薬局では、全国から漢方相談を承っております。

心臓・血管

低血糖

食事の間隔が空くと手が震える。冷や汗が出て、動悸がする。食後に強い眠気が来て、頭が働かない。病院で調べてもらったのに、「異常なし」と言われた。こうした経験がある方は少なくありません。低血糖は、血糖値が下がりすぎた状態です。ただし、低血糖に似た症状と、医学的な低血糖は、同じではありません。

まず、糖尿病の薬を使っている方は、このページの「受診の目安と対処」を先にお読みください。糖尿病情報センターは、薬を使っている方の低血糖を「緊急の状態」と説明しています。薬を使っていない方で症状が続く場合は、内科で血糖値を確かめてください。そのうえで葵堂薬局では、食事の時間、胃腸、睡眠、ストレスといった体の側の背景を、病院の治療と並行して整理します。

このページでは、低血糖の定義、症状、受診の目安と対処、病院での検査、漢方相談で伺うことと中医学の見方、食事の工夫をまとめました。

このページの内容

  1. 受診の目安と対処
  2. 低血糖とは
  3. 症状
  4. 病院での検査
  5. 「異常なし」と言われたとき
  6. 漢方相談で最初に伺うこと
  7. 中医学ではどう見るか
  8. 西岡の考え
  9. 食事で見直せること
  10. よくある質問
  11. 自分の場合を整理してほしい方へ

受診の目安と対処

すぐ受診してほしいとき

次のときは、様子を見ずに、早めに医療機関を受診してください。救急が必要な場合もあります。

  • 意識を失った、呼びかけても反応が鈍い
  • けいれんがあった
  • ろれつが回らない、手足に力が入らない、顔がゆがむ
  • 糖をとっても症状が戻らない、または、また下がる

MSDマニュアルには、高齢者の低血糖では、脳卒中に似た症状(ことばが出にくい、片側の麻痺など)が出ることがある、と書かれています。ご家族が気づいたときも、同じように受診してください。

糖尿病の薬を使っている方へ

糖尿病情報センターは、低血糖を「糖尿病を薬で治療されている方に高い頻度でみられる緊急の状態」と説明しています。次の点を、必ず主治医と確認してください。

  • 自分の薬が、低血糖を起こしやすい種類かどうか。厚生労働省の資料では、スルホニル尿素薬と速効型インスリン分泌促進薬は低血糖を起こしやすく、複数の薬を併用すると頻度が増える、とされています
  • 低血糖のときの対処。ブドウ糖や砂糖など、すぐにとれるものを持ち歩く。α-グルコシダーゼ阻害薬を使っている場合は、ブドウ糖が必要です
  • 意識がはっきりしないときは、周囲の方が救急車を呼ぶ。無理に飲ませると、誤嚥や窒息の原因になります

目安として、MSDマニュアルには、15gのブドウ糖またはショ糖をとり、15分後に血糖値を確かめる方法が書かれています。量や方法は人によって違うため、主治医の指示に従ってください。

食事の量や時間が不足したとき、運動中や運動後、飲酒、入浴のあとにも起こりやすいとされています。運転する方は、車にブドウ糖を常備し、無自覚性低血糖がある場合は運転しないでください。高齢の方や、繰り返し低血糖を経験している方は、冷や汗などの「合図」が出ないまま下がることがあります。

漢方薬やサプリメントを足すときは、薬の名前と量を、必ずお知らせください。薬を、自己判断でやめたり、減らしたりしないでください。

お子さんの場合

お子さんの低血糖は、専門的な診断が必要になることがあります。小児科で相談してください。

低血糖とは

低血糖は、血液中のブドウ糖が下がりすぎた状態です。糖尿病情報センターによると、一般に血糖値が70mg/dL以下になると、体は血糖を上げようとして症状を出し、50mg/dL未満になると、脳がエネルギー不足になります。

大切なのは、薬を使っている方と、使っていない方で、状況が違うことです。

糖尿病の薬を使っている方薬を使っていない方
頻度高い(最も多い原因は薬)まれ(MSDマニュアル)
目安血糖値70mg/dL未満(MSDマニュアル)症状・低い血糖値(55mg/dL未満)・糖をとると症状が軽くなる、の3つがそろう
対応主治医の指示に従い、すぐ糖をとる医師が原因を調べる

MSDマニュアルには、低血糖に似た症状があっても血糖値が正常な方がいる、また、血糖値が下がっても症状が出ない方もいる、とあります。「眠い、だるい」だけで低血糖と決めつけず、測って確かめることが大切です。

症状

段階出やすい症状何が起きているか
血糖が下がりはじめたとき冷や汗、動悸、手の震え、強い空腹感、気持ち悪さ、ふらつき、寒気血糖を上げようとして、アドレナリンなどが出る(交感神経の症状)
さらに下がったときぼんやりする、ろれつが回らない、異常な行動、意識がなくなる、けいれん脳のエネルギーが不足する(中枢神経の症状)

食後の強い眠気、だるさ、頭痛、生あくび、手足の冷えのように、はっきりしない症状もあります。これらは、低血圧、貧血、睡眠不足、ストレスなど、別の理由でも起こります。

病院での検査

糖尿病のない方で、低血糖が疑われるときは、まず症状が出たときの血糖値を調べます。MSDマニュアルによると、診断には症状が出たときの血液検査が必要です。

  • 血糖値、HbA1c。 通常の健康診断では、症状が出ていない時間の値を見ています。症状が出たときに測らないと、低血糖は捉えにくいことがあります
  • 食事負荷試験、75g経口糖負荷試験。 食後に症状が出る場合に、医師が必要と判断すれば行います(厚生労働省の資料)。食後1〜3時間に起こるタイプが知られています
  • 72時間までの絶食試験。 原因を調べる専門施設で行う検査です

家庭用の血糖測定器は、低い血糖値の測定では信頼性が低いことがある、とMSDマニュアルに書かれています。ご自宅で測った数字は、記録として医師に見せ、判断は病院に任せてください。

「異常なし」と言われたとき

検査で「異常なし」と言われると、安心と不安が同時にくるものです。異常がないことは、病院で確かめられる範囲に、問題が見つからなかった、という意味があります。同時に、今のつらさが、検査の数字に出ていないことも事実です。

私は、症状が出た時間、その前の食事の内容と間隔、睡眠、ストレスの状況を、一週間ほど記録していただくようお願いしています。記録があると、病院で再度相談するときにも、漢方相談で見る順番を決めるときにも役立ちます。

漢方相談で最初に伺うこと

西岡は、まず次の3つを伺います。

  1. いつ、どんな症状が出るか。 食後数時間、午後から夕方、夜間や早朝など、時間帯を伺います。冷や汗、手の震え、動悸、めまい、強い空腹感があるか。強い眠気、集中力の低下、イライラ、不安感、頭痛、気分の落ち込みがあるか。
  2. 食事と生活。 ごはん、パン、麺類、お菓子、甘い飲み物をよくとるか。早食い、まとめ食い、朝食を抜くことがないか。コーヒー、アルコール、タバコの習慣はどうか。
  3. 病院の受診歴と飲んでいる薬。 糖尿病と言われているか、血糖を下げる薬やインスリンを使っているか。「機能性低血糖症」と言われたことがあるか。その場合は、そのときの検査の内容を教えてください。

胃もたれ、食欲、軟便や下痢の有無も伺います。

中医学ではどう見るか

中医学(中国で発達した医学)では、「気」(エネルギー)、「血」(栄養を運ぶもの)、「脾胃」(消化吸収の働き)を手がかりに、体を見ます。以下は中医学の考え方であり、西洋医学の診断とは別のものです。症状と処方を一対一で結びつけるものでもありません。

見方意味相談で見る様子例え
気虚・脾虚(ききょ・ひきょ)エネルギーと、食べ物をエネルギーに変える胃腸の働きの弱り疲れやすい、食後に強い眠気、胃もたれ、食事の間が空くと手足が震える食材は届いているのに、厨房の人手が足りず、料理が間に合わない
肝血虚(かんけっきょ)血が足りず、筋に栄養が届かない震えやすい、立ちくらみ、爪が割れやすい、目が疲れる田んぼに引く水の量が足りず、稲の先まで水が行き渡らない
陰虚・気血の不足(いんきょ)体を潤す体液と、エネルギーや血の不足ちょっとしたことで冷や汗や脂汗が出る、のぼせ、口の渇き冷却水が減ったエンジンが、少し動いただけで熱くなり、汗をかく
肝気鬱結(かんきうっけつ)ストレスで気の巡りが滞るイライラしたあとに急にお腹が空いて震える、ため息が多い駅の改札が詰まって、ホームに人が流れていかない

悪化する時間や状況が、どの見方に近いかの手がかりになります。複数が重なっていることがほとんどで、どれか一つに決めるわけではありません。

西岡の考え

私は、食後の眠気やだるさについて、起立性調節障害のページと同じく、朝食を抜く、甘い飲み物でお腹を満たす、といった習慣を確認しています。医学的に確立した結論ではなく、食事の面から見直せる点として伺っています。

また、漢方では、血糖の数字だけでなく、胃腸の力、睡眠、ストレスによる気の巡りを併せて見ます。「血糖スパイク」という言葉は、食後に血糖が急に上がる変化を指して使われることがありますが、正式な医学用語として定まったものではないため、このページでは使っていません。

食事で見直せること

次は、私が相談でお伝えしている工夫です。病気の治療や予防を約束するものではありません。糖尿病の薬を使っている方、腎臓の病気のある方は、食事を変える前に主治医に確認してください。

  • 食べる順番。 野菜、きのこ、海藻、汁物を先に。次に肉、魚、卵、大豆製品。ごはん、パン、麺は最後に。糖質だけを先に食べるより、食後の血糖の上がり方がゆるやかになる、と言われています。
  • 主食の選び方。 白米や食パンのかわりに、玄米、全粒粉のパン、そば、オートミールなどを。消化がゆっくりで、血糖が安定しやすいとされます。
  • 食事の間隔。 1日3食を規則正しく。空腹の時間が長いと、症状が出やすい方がいます。
  • 間食。 無塩のナッツ、ゆで卵、無糖のヨーグルト、チーズ、納豆、鮭や鶏そぼろの小さなおにぎり。焼き芋、干し芋、かぼちゃは少量で。

よくある質問

低血糖かどうか、自分で血糖を測ってもよいですか

糖尿病の薬を使っている方は、主治医の指示に従って測ってください。薬を使っていない方は、家庭用測定器の低い値は正確でないことがあります。症状が出た時間と状況を記録し、内科で相談するほうが確実です。

漢方薬は、低血糖に役立ちますか

漢方薬だけで解決できるとは言えません。病院での検査と治療を前提に、体質の面を整理するために使います。服用を始めたあとは、血糖の数字だけでなく、食後の眠気、震え、冷や汗、だるさの変化を一緒に見ていきます。

甘いものを食べると楽になります。大丈夫ですか

糖をとると症状が軽くなることは、低血糖の目安の一つです。ただし、頻繁に甘いものが必要な場合は、原因の確認が必要です。内科で相談し、記録を見せてください。

費用はどのくらいですか

相談料は無料で、所要は30分から1時間です。継続して漢方薬を飲む場合の費用の目安は、毎月20,000〜25,000円ほどです。金額と内容は、無料相談の際にご案内します。

自分の場合を整理してほしい方へ

このページの要点は三つです。まず、糖尿病の薬を使っている方は、低血糖への備えを主治医と確認すること。薬を使っていない方は、症状が出たときの血糖値を内科で調べること。そのうえで、胃腸、睡眠、ストレス、食事の時間といった体の側の背景を、病院の治療と並行して整理すること。

今日からできることは、症状が出た時間と、その前の食事を、一週間記録すること。飲んでいる薬とサプリメントを書き出すことです。

まず質問だけしたい方。診断名、飲んでいる薬、この一週間の症状とタイミングを、LINEで送ってください。じっくり相談したい方。オンライン漢方相談は、全国どこからでも受けられます。所要は30分から1時間です。

ご相談の流れ

  1. LINE、お電話、Web予約でご予約
  2. ご来店、またはオンラインで、体調、お悩み、これまでの経過、暮らしを伺う
  3. 体質の主軸を整理し、合う処方を提案する
  4. 漢方薬をお渡しする
  5. 経過を確認し、必要なら処方を調整する
低血糖に関する
オンライン漢方相談はこちら >

参考文献

  • MSDマニュアル プロフェッショナル版「低血糖」(2024年9月最終更新)msdmanuals.com(低血糖)(確認日 2026年10月28日)。薬を使う方と使わない方の区別、Whipple三徴、症状と血糖値のずれ、家庭用測定器の限界、検査、15gの目安、高齢者の症状に使用
  • 国立国際医療研究センター 糖尿病情報センター「低血糖」(2021年12月改訂)https://dmic.jihs.go.jp/general/about-dm/040/050/05.html(確認日 2026年10月28日)。血糖値70・50mg/dLの目安、原因、対処、無自覚性低血糖、運転に使用
  • 厚生労働省「重篤副作用疾患別対応マニュアル 低血糖」https://www.mhlw.go.jp/topics/2006/11/dl/tp1122-1d27.pdf(確認日 2026年10月28日)。糖尿病の薬の種類別の低血糖の起こりやすさ、α-グルコシダーゼ阻害薬とブドウ糖、食後低血糖の負荷試験に使用

関連するページ