漢方の葵堂薬局では、全国から漢方相談を承っております。

自律神経・心の悩み

起立性調節障害の漢方相談|朝起きられないお子さんへ

朝、何度声をかけても布団から出てこない。やっと起きると、立ちくらみがして、頭が痛いと言う。それなのに夕方には、別人のように元気に動いている。起立性調節障害(OD)は、中学生に多い自律神経の調整の不調で、気持ちの問題でも怠けでもありません。

「怠けているだけでは」と周りに言われ、つい強い声が出てしまう自分を、責めていませんか。まず小児科などで、診断と、ほかの病気がないかを確かめてください。そのうえで葵堂薬局では、胃腸、栄養、睡眠、ストレスという体の側の背景を、病院の治療と並行して整理します。

日本小児科学会の資料には、不登校やひきこもりに伴って体の機能が落ちると、症状がさらに強くなる悪循環に陥る、と書かれています。周囲の無理解から本人が孤立し、長期の不登校やひきこもりに進む例も少なくないとされています。様子を見続ける前に、確認する順番を知っておいてください。

専門医の総説によると、ODは、血圧や心拍の反応という体の仕組みと、心理社会的な要因が、さまざまな割合で混ざった状態です。血圧の異常という一面だけで治療することは、必ずしも患者さんにとって有用とはいえない、とも述べられています。病院で血圧と心拍の反応を調べる。そのうえで、睡眠や栄養、ストレスといった暮らしの側の事情を整理する。後者を担うのが、漢方相談で薬剤師ができることです。

この記事では、病気の仕組み、受診の目安とセルフチェック、病院での検査と治療、家庭と学校でできること、漢方相談で伺うこと、中医学の見方を順に整理します。読み終えるころには、病院でどんな検査をして何が分かるのか、今日から家庭で何をするか、学校へどう伝えるか、漢方相談で何を見るのかが分かります。特に、中学生のお子さんが朝起きられず、欠席が続いている保護者の方に向けて書きました。大人になっても症状が続く方のことも、後半で触れます。

このページの内容

  1. 起立性調節障害とは
  2. 受診の目安とセルフチェック
  3. 病院での検査
  4. 病院での治療と、家庭・学校でできること
  5. 相談でよく伺う言葉と、そこから何を見るか
  6. 漢方相談で最初に伺うこと
  7. 中医学ではどう見るか
  8. 血液検査と栄養から見ること
  9. 食事・睡眠・生活で見直すこと
  10. 西岡の考え
  11. 大人になっても続くとき
  12. よくある質問
  13. 自分の場合を整理してほしい方へ

起立性調節障害とは

起立したときに血圧や心拍を保つ体の仕組みがうまく働かず、立ちくらみやだるさが出る病気です。日本小児科学会の資料には、起立に伴う循環の変化に対する、体の代償的な調節の仕組みが破綻して起こる、と書かれています。

立ち上がると、血液は下半身へ移ります。調節が働いているときは、血管が縮み、心拍が上がって、血圧が保たれます。この調節がうまくいかないと、体や脳への血流が減ります。自律神経は心理社会的なストレスの影響を受けやすく、心身症としての側面もあります。

主な症状は、立ちくらみ、ふらつき、頭痛、動悸、全身のだるさ、食欲の低下、朝の起きにくさ、集中力の低下です。症状が続くと、学力の低下につながることもあります。滋賀県教育委員会の資料では、軽症を含めて中学生の約10%にみられ、不登校の約3〜4割に併存するともいわれる、と紹介されています。小学校高学年から中学生にかけて特に多い病気です。

起立後の反応で分けた、四つのタイプ

専門医の総説では、起立後の血圧と心拍の反応から、次の四つのタイプに分けると説明されています。タイプは、病院の起立試験で判定されます。

タイプ起立後に起こること
起立直後性低血圧立った直後に血圧が大きく下がり、戻るのに時間がかかる。立ちくらみや、目の前が暗くなる感じが出る
体位性頻脈症候群血圧は保たれるが、心拍が著しく増える
遷延性起立性低血圧立っているうちに、血圧がゆっくり下がり続ける
血管迷走神経性失神立ち続けるうちに、血管が広がり心拍が減って、失神に至る

怠けや気持ちの問題ではありません

頭痛や立ちくらみ、朝の起きにくさによる遅刻や欠席が、周囲の無理解から「怠け」「仮病」とみなされ、本人が孤立することがあります。日本小児科学会の資料は、そのまま長期の不登校やひきこもりに進む例も少なくない、と述べています。

本人は、起きたくないのではなく、起きられない状態にあります。病気として扱ってよい、と最初に決めることが、保護者の方にできる一歩目です。

受診の目安とセルフチェック

次の10項目のうち、三つ以上当てはまるときは、医療機関を受診してください。日本小児心身医学会のガイドラインをもとに作られた体調チェックで、滋賀県教育委員会の資料に載っているものを、言い換えて並べました。

当てはまる項目
□立ちくらみやめまいをよく起こす
□立ち上がったときに、気分が悪くなったり、気を失ったりすることがある
□顔色が悪い
□食欲があまりない
□腹痛や頭痛を訴える
□入浴時や、いやなことを見聞きしたときに、気分が悪くなる
□動悸や息切れが起こりやすい
□朝なかなか起きられず、午前中の調子が悪い
□体がだるい、疲れやすい
□乗り物酔いをしやすい

三つ未満でも、朝の欠席や遅刻が続くときは、受診や相談を先延ばしにしないでください。このチェックは診断ではなく、受診の目安です。

受診先は、まず、かかりつけの小児科です。必要に応じて、起立性調節障害の診療や小児心身医学に詳しい医療機関を紹介してもらえます。

様子を見ずに、すぐ受診してほしいとき

次のときは、起立性調節障害と決めつけず、早めに医療機関を受診してください。救急が必要な場合もあります。

  • 意識を失った、または意識がもうろうとしている
  • 強い胸の痛みや、呼吸の苦しさがある
  • 突然、手足の麻痺やしびれが出た、ろれつが回らない
  • 体を起こすと強くなる頭痛が続いている

受診前に、家庭で記録しておくこと

病院では、短い時間で状況を伝える必要があります。1〜2週間分の記録があると、診察が進みやすくなります。

  • 起きた時刻と、起きられなかった日
  • 一番つらい症状と、その時間帯(午前、午後、夕方)
  • 寝た時刻と、夜中に目が覚めたか
  • 朝食をとったか、水分をとったおおよその量
  • 欠席や遅刻の日と、その日の様子
  • 飲んでいる薬やサプリメントの名前と量

家庭に血圧計があれば、横になっているときと、立ち上がって少したったときの血圧と脈拍を、時刻と一緒に記録すると、医師に見てもらえます。測り方は、医師の指示に合わせてください。

病院での検査

診断までは、ほかの病気がないかを確かめたあとに、起立試験を行う順で進みます。

日本小児心身医学会のガイドラインでは、身体症状11項目のうち3項目が当てはまる場合に、新起立試験を午前中に行うとされています。その前に、問診、診察、検査で、甲状腺の病気や心臓の病気など、基礎疾患がないかを確かめます。

新起立試験は、安静に横になった状態から立ち上がり、血圧が元に戻るまでの時間と、立っている間の血圧と心拍を測る検査です。結果から診断基準に従って判断し、前に挙げたタイプを決めます。気を失ったことがあるときは、ホルター心電図や脳波、傾斜をつけたベッドで起立の反応を見る検査も検討されます。

似ている状態と、見分ける理由

朝起きられない状態は、起立性調節障害だけで起こるとは限りません。専門医の総説は、睡眠障害、不登校の結果として体力が落ち、起立試験の結果にも影響が出ている状態、遺伝性の結合組織の病気などが関わるケースがあると述べています。眠る時刻と起きる時刻が大きく後ろにずれた状態では、血圧の問題として治療しても、楽になりにくいとされます。思春期は睡眠と覚醒のリズムが後ろにずれやすく、朝の目覚めの悪さが、必ずしも病的とはいえない、とも書かれています。

そのほか、学校向けの資料には、似た訴えで周囲に誤解されやすい子どもの病気として、過敏性腸症候群、うつ病、摂食障害、脳脊髄液減少症などが載っています。

見分けが大事なのは、血圧だけに注目した治療では、睡眠や心の負担が背景にあるときに、十分に楽にならないことがあるからです。どれにあたるかは、医師が診察と検査で判断します。

病院での治療と、家庭・学校でできること

治療は一つではなく、症状の重さと、心理社会的な要因の関わりの大きさに合わせて、いくつかを組み合わせます。日本小児科学会の資料では、病気の説明(疾病教育)、日常生活の工夫などの非薬物療法、学校への指導や連携、薬物療法、家庭や学校の環境調整、心理療法が挙げられています。

基本になるのは、病気の仕組みを子どもと家族が丁寧に説明してもらうことと、日常生活での注意や、運動と食事の工夫です。仕組みが分かるだけで、不安が軽くなることがあります。

家庭での工夫

滋賀県教育委員会の資料は、家庭でお願いすることとして、次の四つを挙げています。

  • 生活リズムを整える
  • 立ち上がりはゆっくり行う。特に朝は、頭を下げた状態で起き上がる
  • 水分を多くとる
  • 横になって過ごす時間を減らす

水分と塩分の量

量の数字は、主治医に確認してください。私が確認した資料でも、目安の量は同じではありませんでした。年齢、体格、血圧によって変わるためです。腎臓や心臓の病気、高血圧のあるお子さんでは、水分や塩分を増やすこと自体が合わないことがあります。自己判断で増やさず、主治医の指示に従ってください。

学校との連携

学校では、静止した状態での起立を続けないようにします。軽症では運動制限は不要で、体育は、気候のよい場所で座って見学します。周囲の理解が、本人の安心や症状の軽減につながることもあります。

学業が続けにくいときは、配慮の内容を書いた医師の診断書や意見書を作ってもらうと、学校に具体的に伝わります。日本小児科学会の資料でも、有用とされています。

心の負担と、二次障害

小児心身医学の専門機関を受診するODの7〜8割で、心理社会的な要因が関わると考えられています。そのため、必要に応じて、家庭や学校の環境調整や、本人のストレスへの対処を支える心理療法も並行して行います。

不登校やひきこもりは、ODの二次障害として大きな問題です。体力の低下や心の葛藤が、さらに症状を重くする悪循環に陥ると資料が述べているため、早めに医療につながることが大切です。回復に時間がかかるときは、発達や心理面の評価が検討されることもあります。

相談でよく伺う言葉と、そこから何を見るか

保護者の方から、よく伺う言葉の例です。特定の方の事例ではありません。

伺う言葉薬剤師が確認すること
朝は頭痛がひどく、体を起こすとめまいがする一番つらい症状と、起きる時刻、起き上がり方、前の晩の睡眠
午後や夕方になると、比較的元気に動ける午前と午後での調子の差、朝食の有無、水分、日中の過ごし方
食欲があまりない、お腹を下しやすい食が細くないか、胃もたれや腹痛、栄養の状態
寒がり、またはのぼせやすい冷えとのぼせ、手足の温度、汗のかき方
寝つきが悪い、夜中に目が覚める就寝と起床の時刻、寝る前の過ごし方
テスト前や、人間関係で調子が崩れる時期、学校や家庭での出来事、本人の負担
薬や粉が苦手飲んでいる薬の名前と量、指示どおり飲めているか、錠剤や粉薬への苦手意識

漢方相談で最初に伺うこと

葵堂薬局のご相談では、次の四つを最初に伺います。

  1. 医療機関での診断や検査の有無と、飲んでいる薬やサプリメント。昇圧薬や漢方薬を飲んでいる場合は、名前と量、指示どおりに飲めているかも確認します。
  2. 一番つらい症状と、時間帯による波。朝起きられない、めまい、立ちくらみ、頭痛、腹痛、だるさのうち、何が一番つらいか。午前と午後で、どれくらい調子が変わるかを伺います。
  3. 胃腸の強さ、食欲、栄養の状態。もともと食が細くないか、胃もたれや腹痛がないかを確かめます。東洋医学では、食べたものから気と血をつくる胃腸のはたらきを、体の土台と考えます。
  4. ストレスや生活環境の変化。進級、クラス替え、部活動、人間関係、昼夜逆転などの背景を伺います。

ご本人が来店できなくても、ご家族からの代理相談や、LINE、お電話での相談を受け付けています。

中医学ではどう見るか

中医学は、西洋医学とは別の考え方です。起立性調節障害という病名ではなく、お子さんの体の状態を、いくつかの方向から見ます。次の見方は、西洋医学で証明された仕組みではなく、中医学の考え方です。

ビルの高い階まで水を届けるには、ポンプの力、水の量、配管の状態がそろう必要があります。体にたとえると、頭まで気血を届ける力、気血の量、巡りの道筋のどこに偏りがあるかを見る、というイメージです。

見方中医学での考え方相談で見る様子
気を上へ持ち上げる力気とは、体を動かすエネルギーのことです。この気を頭のほうへ押し上げる力が弱いと、起き上がったときに頭がぼんやりしたり、立ちくらみが出たりすると考えます朝が特に弱い、起き上がると頭が重い、疲れやすい
気血の不足食べたものから気と血をつくるのは、脾と呼ぶ胃腸のはたらきです。脾が弱いと、気血が足りず、全身のだるさや立ちくらみにつながると考えます食が細い、胃もたれ、腹痛、顔色がすぐれない
水の巡り体の水分の巡りが滞ると、頭や体が重くなると考えます頭や体が重い、むくみやすい
ストレスによる気の滞り環境の変化などで気の流れが滞った状態を、中医学では肝のはたらきと結びつけて考えます。頭痛や腹痛、イライラが出やすいとされます緊張が続く、頭痛や腹痛、イライラ
血の滞り(瘀血)瘀血とは、血の巡りが滞った状態を指す中医学の言葉です。頭や体の細い道筋まで血が届きにくいと、立ち上がったときのクラッとする感覚が強まると考えます特定の場所が刺すように痛む頭痛、夜になると重くなる、慢性的な肩こりや体の重だるさ、物忘れや集中力の低下、月経痛の強さ
成長期の体の調整思春期は、体が急に成長し、ホルモンの状態も変わる時期です。中医学では、成長にかかわるはたらきを腎と結びつけ、その調整が追いつかない状態として見ることがあります急に背が伸びた時期と重なる、月経や体調の波がある

実際の相談では、これらのいくつかが重なっています。見方の組み合わせから、その子に合う漢方薬を検討します。病名だけ、見方一つだけで決めることはしません。同じ見立てでも、飲んでいる薬や、飲みやすさによって、選ぶものは変わります。

血液検査と栄養から見ること

立ちくらみやだるさは、貧血など、ほかの原因と重なることがあります。まず医療機関の血液検査で確かめることが大切です。どの項目を調べるかは、主治医に相談してください。

鉄が足りないと分かった場合は、補い方を、食事からか、薬からか、量はどれだけかを、医師や薬剤師と決めます。鉄は、足りなくても困りますが、余っても体に負担になります。検査をせず、自己判断でサプリメントを始めることは勧めません。

食事では、たんぱく質を毎食入れること、朝食を抜かないことを、まず見ます。胃腸が弱くて朝は食べられない、という場合は、無理に量を増やさず、食べやすいものから整理します。

検査の数値には、年齢や性別、測る条件による基準があります。数値だけで自己判断せず、医師の説明を聞いてください。

食事・睡眠・生活で見直すこと

睡眠

思春期は、眠る時刻と起きる時刻が後ろにずれやすい時期です。朝に光を浴びる、食事の時間をそろえる、学校や家庭での予定を一定にする、といった生活の手がかりが減ると、睡眠と覚醒のリズムはさらに乱れます。専門医の総説は、睡眠や水分の不足が、体位性頻脈症候群のなりやすさにかかわることを示唆する報告がある、と紹介しています。

起きる時刻をそろえることが、先です。寝る時刻は、そのあとで整えます。眠りが浅い、寝つけないといったときは、不眠症のページも参考にしてください。

動くことと、横になる時間

専門医の総説は、健康な大人でも、10日間の床上安静で起立の反応が乱れた、という研究を紹介しています。横になって過ごす時間が長くなるほど、起き上がったときの負担は大きくなります。体調のよい時間帯に、座る、立つ、軽く動くことを少しずつ入れていきます。運動の内容や強さは、主治医の指示に合わせてください。

食事

三食を決まった時間にとること、毎食たんぱく質を入れること、水分をこまめにとることから始めます。朝食は、少量でも口に入れる習慣をつけます。食欲がない日は、飲み物やスープなど、食べやすい形にします。

西岡の考え

同じ「朝起きられない」でも、背景は一人ひとり違います。血圧の反応が似ていても、鉄が足りない子、食事の組み立てに偏りがある子、緊張が続いている子、眠る時刻が大きくずれている子では、見るところが変わります。

私が相談で確認する順は、鉄分不足、血糖の波、ストレス、睡眠、胃腸、冷えです。医学的に定められた順序ではなく、私が相談で考えている順です。

血糖の波については、朝食を抜く、甘い飲み物でお腹を満たす、といった食べ方が続くと、食後に血糖が急に上がって下がり、眠気やだるさが出ることがあります。起立性調節障害の原因として、医学的に確立したものではありません。それでも、午前中の調子の悪さを伺うとき、私は食事の内容と時間を必ず伺います。

もう一つ、私が相談で意識していることがあります。「酸化ストレス」という見方です。体の中で活性酸素が過剰になると、細胞が傷つきやすくなる、という考え方です。起立性調節障害の原因として、医学的に確立したものではありません。

それでも、次のような背景が重なるお子さんでは、怠けや根性の問題ではなく、体の内側が疲れ切っているのかもしれない、という見方で暮らしを整理しています。

  • 午前中だけでなく、一日中だるさが残る。
  • 夜の寝つきが悪い、夜中に何度も目が覚める、何時間寝ても疲れが取れない。
  • スマートフォンやゲームを長時間見続けている。
  • 朝食が食べられない、菓子パンや麺類に食事が偏っている。
  • 学校の人間関係や受験、「早く治して学校に行かなければ」という焦りが強い。

暮らしの側では、次のことをお勧めしています。薬の代わりではなく、病院の治療と並行して行うものです。

  • 食事:色の濃い野菜や果物、ナッツ類のほか、赤身の肉や魚、大豆製品をバランスよく。菓子パンや麺類だけにしない。
  • 睡眠:寝る前のスマートフォンやゲームを減らす。
  • 気持ち:すべてを完璧にこなそうとしない。「今日は水分がとれたからよし」と、できたことを数える。

漢方は、症状を抑えるというより、体質から整える発想で用います。病院の治療の代わりではありません。昇圧薬などを飲んでいる場合は、薬の名前と量を伺ったうえで、併用できるかを確かめます。病院の薬を、自己判断でやめないでください。

大人になっても続くとき

多くは成長とともに軽くなりますが、成人してからも症状が残る方がいます。日本小児科学会の資料では、過去の調査で、成人期以降も症状が残る方は、男性で2割、女性で5割と報告されています。一方で、治療の目標を症状の消失ではなく、体調を整え、それに合わせた活動ができることに置き、適切な治療を続けると、高校卒業のころには、約9割の症例で、日常生活への支障が少なくなるとされています。

成人してから診てもらう診療科は、症状によって変わります。資料には、総合診療内科、一般内科、神経内科、循環器内科、心療内科が挙げられ、月経前の不調が強い場合は婦人科とされています。

成人期に大切なこととして、資料は次の四つを挙げています。

  1. 日常生活の工夫(非薬物療法)を続けること
  2. 自分なりの、日常の活動の余裕を知っておくこと
  3. 通院を、自分の判断で中断しないこと
  4. 一度よくなったあとに症状が戻ったときは、ODの悪化と決めつけず、ほかの病気の可能性も考えて受診すること

起立したときの血圧の低下は、起立性低血圧という別の病名で呼ばれることもあります。詳しくは、起立性低血圧のページをご覧ください。

よくある質問

怠けではないのですか

怠けではありません。自律神経の調整の不調による病気で、本人は、起きたくないのではなく、起きられない状態にあります。周囲の理解が、本人の安心や、症状の軽減につながることがあります。

いつまで続きますか

個人差があります。日本小児科学会の資料では、中学生や高校生の間に軽快する例も多く、高校卒業のころには、約9割で日常生活の支障が少なくなるとされています。成人してからも続く方が、男性で2割、女性で5割という報告もあります。

学校は休ませたほうがよいですか

一律には決められません。主治医の診断と、症状の重さ、本人の様子で変わります。日本小児科学会の資料は、目標を症状をなくすことではなく、体調に合わせた活動ができることに置くよう述べています。診断書や意見書を主治医に頼み、学校に具体的な配慮を伝えてください。

水分や塩分は、どれくらいとればよいですか

量の数字は、主治医に確認してください。年齢、体格、血圧、持病で変わります。腎臓や心臓の病気、高血圧がある場合は、自己判断で増やさないでください。

漢方薬は役に立ちますか

漢方薬だけで、起立性調節障害が軽くなるとは言えません。病院での診断と治療を続けながら、胃腸、栄養、睡眠、ストレスなど、体の状態に合わせて、漢方薬を使うかどうかも含めて検討します。飲んでいる薬がある場合は、必ずお知らせください。

鉄のサプリメントを飲ませてもよいですか

まず血液検査で、今の状態を確かめてください。検査をせずに続けることは勧めません。不足が分かった場合の補い方は、医師や薬剤師と決めてください。

本人が来店できないときは、相談できますか

できます。ご家族からの代理相談や、LINE、お電話でも受け付けています。オンライン漢方相談は、全国どこからでも受けられます。

費用はどれくらいですか

相談料は無料で、所要は30分から1時間です。継続して漢方薬を飲む場合の費用の目安は、毎月15,000〜25,000円ほどです。飲めるか不安な方には、1週間分から用意することもできます。金額と内容は、無料相談の際にご案内します。

自分の場合を整理してほしい方へ

このページの要点は三つです。まず医療機関で、診断と、ほかの病気の有無を確かめること。家庭で、生活リズム、起き上がり方、水分を整えること。そのうえで、栄養、睡眠、胃腸、ストレスという体の側の背景を、病院の治療と並行して整理すること。

今日からできることは、起きた時刻と症状、その時間帯を一週間記録すること、起き上がるときは頭を下げてゆっくり動くこと、朝に水分をとることです。医療機関では、セルフチェックの結果と、記録を見せてください。

そのうえで、自分の場合はどこから手をつければよいか分からない、という方へ。三つの入口を用意しています。

まず質問だけしたい方。診断名、飲んでいる薬、この一週間の起きた時刻と症状を、LINEで送ってください。何を先に確認するとよいかが整理しやすくなります。

何から確認すればよいか整理したい方。上のセルフチェックと記録をお持ちください。順番を一緒に決めます。

じっくり相談したい方。オンライン漢方相談は、全国どこからでも受けられます。所要は30分から1時間です。

ご相談の流れ

  1. LINE、お電話、Web予約でご予約
  2. ご来店、またはオンラインで、体調、お悩み、これまでの経過、暮らしを伺う
  3. 体質の主軸を整理し、合う処方を提案する
  4. 漢方薬をお渡しする
  5. 経過を確認し、必要なら処方を調整する

病院の治療や処方薬を、自己判断でやめないでください。服用中の薬がある方は、漢方薬を足す前に、必ず医師と薬剤師にお伝えください。

起立性調節障害に関する
オンライン漢方相談はこちら >

参考文献

  • 日本小児科学会「起立性調節障害(Orthostatic Dysregulation:OD)」(文責:日本小児心身医学会 起立性調節障害ワーキンググループ、2024年1月30日公開)https://www.jpeds.or.jp/uploads/files/20240130_GL035.pdf(確認日 2026年10月28日)。定義、症状、診断の流れ、治療の組み合わせ、二次障害、予後、成人期の注意に使用
  • 滋賀県教育委員会「知っているようで知らない 子どものこころとからだ」(令和6年度)https://www.pref.shiga.lg.jp/file/attachment/5526749.pdf(確認日 2026年10月28日)。有病率、体調チェック項目、家庭と学校での工夫、似た状態に使用
  • 呉 宗憲「二次障害としての起立性調節障害」心身医学 64(5):441-447, 2024 https://doi.org/10.15064/jjpm.64.5_441(確認日 2026年10月28日)。四つのタイプ、基礎疾患の確認、睡眠、不登校の結果としてのOD、床上安静の研究に使用

関連するページ