| 原因 | アルコールと胆石、そして原因不明の特発性を合わせた3つが原因で、男性ではアルコール、女性では胆石によるものが多い傾向があります。 | 圧倒的にアルコールが原因です。 |
| 疫学 | 2011年1年間に受療した患者数は63,080人、男女比は1.9:1で男性に多く、男性は60歳代、女性は70歳代が最も多いとされています。急性膵炎全体に占める重症急性膵炎の割合は、19.7%です。 | 2007年1年間の推定患者数は44,100人となっています。近年は4~5万人の患者数で推移しているものの、年々増加傾向にあります。男女比は3:1と男性に多い病気です。 |
| 症状 | みぞおちから背部の持続性の腹痛や、悪心・嘔吐・発熱などがあります。慢性膵炎と比較すると症状の出現は急速です。重症急性膵炎の場合は、ショックや呼吸困難、意識障害や重傷感染症を引き起こしたり、出血傾向のため出血斑が側腹部や臍周囲に出てくることもあります。刻々とその症状は変化します。 | 上腹部から背部の痛みが反復し、脂肪便・口渇・多飲・多尿などがあります。 |
| 治療 | 輸液を行い、呼吸・循環動態を注意深く管理します。必要に応じて鎮痛剤や蛋白分解酵素阻害剤の投与を行います。重症の場合は外科手術を行うこともあります。 | 治療の第一は禁酒です。症状が安定している時は低脂肪食、消化酵素薬、蛋白分解酵素阻害薬などを投与します。膵臓に嚢胞や腫瘍がある、または、胆管の狭窄の合併がある場合には手術を行うこともあります。 |
| 予後 | 日本における2011年の急性膵炎の死亡率は全体で2.1%、重症例では10.1%とのことです。重症膵炎で死亡した人の約半数は発症後2週間以内の早期死亡で、死亡率は高齢者ほど高くなる傾向があります。 | 適切な治療を行えば命を落とすことはありません。しかし、膵がんを発症する可能性が高いといわれています。 |