症状のほとんどは腹痛です。患者さんは痛みを軽減させるために前かがみになり、右を下にしてうずくまる場合が多く見られます。このように上腹部に激しい痛みを訴える人が多いのですが、痛み程度は、軽い痛みから、じっとしていられないほどの激痛まで個人差があるようです。痛みは持続性で、痛む箇所もみぞおちからへそまで広い範囲に及ぶ場合もありますし、また、痛みの場所が特定できない場合もあります。
次に多いのが、吐き気と嘔吐です。吐いても楽になることはなく腹痛は続きます。痛みを背部に感じる人もいますし、発熱を伴う人もいます。他の症状としては、食欲不振や膨満感などもあります。このような症状は、徐々に出てくることもあれば、食事や飲酒の数時間後に突然激しい腹痛が現れることもあります。
痛みが楽になる場合もありますが、時間とともに重症化することもあるので、上腹部の痛みや、背中に痛みを感じる場合は、早めに内科、消化器科を受診することをお勧めします。
急性膵炎の多くは、軽症から中等症で、絶飲食と輸液により順調に回復していくのですが、発症から2~3日は経過を十分に観察しながら適切な治療が必要となるため、ほとんどの場合、入院が必要となります。
重症急性膵炎になると、顔面や皮膚が蒼白となり、冷や汗、血圧低下、心拍数は増加してショック状態となります。感染を伴う場合には発熱があり、呼吸は浅く小刻みとなり、尿量の減少により腎不全を起こします。また、肝不全から生じる黄疸(おうだん)や意識障害もみられ、消化管出血が原因となる黒色便がみられることもあります。このように、重症になると炎症が膵のみにとどまらず、肺・腎・肝などの重要臓器にまで波及し多臓器不全を起こす場合もあります。
急性膵炎の再発率は、アルコール性が46%、そのうちの80%は4年以内に再発したとの報告もあります。また、重症急性膵炎の再発率も20%とのことですから、全体的に再発率は高いと感じられます。