膵臓の病気
急性膵炎・慢性膵炎の症状と治療|食事・養生と漢方の考え方
急性膵炎・慢性膵炎の症状と治療・日常生活の養生法
膵炎には、突然の激しい腹痛で発症し入院治療が必要になることの多い「急性膵炎」と、炎症が長期間続いて膵臓の組織が徐々に硬く変化し、消化機能やホルモン分泌が少しずつ低下していく「慢性膵炎」があります。このページでは、急性膵炎の治療と受診の目安、慢性膵炎の症状、そしてコーヒー・温め・ツボといった日常生活で気になるポイントと漢方の考え方を、まとめて整理します。
先にお伝えします。膵炎は、まず医療機関での治療が中心になる病気です。漢方薬で膵臓の炎症や線維化を治すことはできません。当店にできるのは、病院の治療を続けていただいたうえで、食欲や疲れ、冷えといった日常の不調を体の状態から一緒に整理することです。いま強い腹痛があるときは、このページを読むより先に受診してください。
このページの内容
- すぐに受診してほしいサイン
- 急性膵炎と慢性膵炎の違い
- 急性膵炎の症状・治療・退院後
- 慢性膵炎の症状・検査・治療
- 食事と嗜好品(コーヒー・お酒・脂質・食べ物の目安)
- お腹を温めてもよいか
- 膵臓とツボ ― 手のひらが痛いのは膵臓のサイン?
- 膵炎と漢方 ― 処方名だけでは決まらない理由
- 西岡の考え
- よくある質問
すぐに受診してほしいサイン
ご相談をお受けするとき、薬剤師の西岡が最初に確かめるのは「いま病院へ行くべき状態かどうか」です。次のどれかに当てはまるときは、このページを読み進めるより先に受診してください。
- これまでに経験したことがないほど強い腹痛・背中の痛み、のたうち回るような痛み
- 吐いても腹痛がおさまらない。水分が一切摂れず、激しい嘔吐が続いている
- 飲酒や脂っこい食事の数時間後に、急に強い腹痛が出た
- 高熱がある
- 白目や皮膚が黄色くなっている(黄疸)
次の場合は、迷わず救急車を呼んでください。
- 冷や汗が出る、顔色が悪い、意識がもうろうとする
- 呼吸が苦しい
- 血圧が下がって立ち上がれない
- 尿が出なくなった
急性膵炎と慢性膵炎の違い
急性膵炎は、膵臓が自らの消化酵素で炎症を起こす病気で、突然の激しい上腹部痛で発症することの多い疾患です。多くの場合入院による治療が必要になります。
一方、慢性膵炎は長年の炎症の繰り返しにより膵臓が線維化し、元に戻らない変化が進んでいく病気です。原因として最も多いのは長期間の飲酒とされ、そのほか胆石や原因が特定できないもの(特発性)もあります。急激な激痛で発症する急性膵炎とは異なり、ゆっくり進行するため気づきにくいのが特徴です。また、急性膵炎を繰り返すと慢性膵炎へ移行することがあり、両者は連続した経過としてとらえることが大切です。
急性膵炎の症状と受診の目安
症状のほとんどは腹痛です。上腹部の激しい痛みが持続し、前かがみでうずくまると楽になる傾向があります。痛みの程度は軽いものからじっとしていられない激痛まで個人差があり、みぞおちからへそ、背中に及ぶこともあります。吐き気・嘔吐を伴うことが多く、吐いても腹痛は続きます。食事や飲酒の数時間後に突然発症することもあります。
上腹部や背中に激しい痛みが続くとき、吐いても痛みがおさまらないときは、様子を見ずにその日のうちに内科・消化器内科を受診してください。夜間や休日であれば、救急外来への連絡を考えてください。急性膵炎は発症からの数日の対応が経過を左右しますので、市販の鎮痛薬で様子を見ることは避けてください。
意識がもうろうとする、顔色が悪く冷や汗が出る、息が苦しい、尿が出なくなったといったときは、迷わず救急車を呼んでください。
急性膵炎の治療 — 絶飲食・輸液・入院
急性膵炎の多くは軽症から中等症で、膵臓を休ませるための絶飲食と、十分な輸液により順調に回復していきます。ただし、発症から2〜3日は経過を十分に観察しながら適切な治療が必要となるため、ほとんどの場合入院が必要となります。
治療は一般に、(1) 絶飲食による膵臓の安静、(2) 輸液による脱水・循環の管理、(3) 痛みに対する鎮痛薬、を基本とし、状態に応じて感染対策などが行われます。回復に伴い、脂質を抑えた食事から段階的に食事が再開されます。
重症化した場合
重症急性膵炎になると、顔面や皮膚が蒼白となり、冷や汗、血圧低下、心拍数の増加によりショック状態となります。感染を伴う場合には発熱があり、呼吸は浅く小刻みとなり、尿量の減少により腎不全を起こします。また、肝不全から生じる黄疸や意識障害、消化管出血による黒色便がみられることもあります。重症になると炎症が膵臓のみにとどまらず、肺・腎・肝などの重要臓器にまで波及し、多臓器不全を起こす場合もあります。重症例では集中治療が必要となります。
退院後の再発予防
急性膵炎の再発率は、アルコール性で46%、そのうち80%は4年以内に再発したとの報告があります。重症急性膵炎の再発率も20%とされ、全体として再発率の高い病気です。
再発予防の柱は、原因への対処(アルコール性であれば禁酒、胆石性であれば胆石の治療)と、脂質を控えた食生活の継続です。急性膵炎を繰り返すと慢性膵炎へ移行することがあるため、退院後の生活管理が重要になります。
退院後の自宅療養 ― 食事はどう戻していくか
退院直後は、まだ膵臓が十分に回復していません。病院で指示された脂質量を守りながら、少しずつ戻していくのが基本です。
- 最初の数週間:おかゆ、うどん、白身魚、豆腐、卵白、じゃがいもなど、脂の少ないものを中心に。揚げ物、脂身の多い肉、バター、生クリームは避けます
- 量より回数:一度にたくさん食べると膵臓に負担がかかります。1回量を減らして1日4〜5回に分けるほうが楽なことがあります
- 油は目分量をやめる:計量スプーンを使うと、自分がどれくらい摂っているかが分かります
- お酒は再開しない:アルコールが原因だった場合、再飲酒は再発に直結します。やめ続けることが難しいと感じたら、それは意志の問題ではありません。主治医にご相談ください
- 禁煙:喫煙も膵炎の経過に関わる要因として指摘されています
退院後に「食欲が戻らない」「体重が戻らない」「疲れが抜けない」という状態が続く方は少なくありません。回復の途中であることが多いのですが、下痢が続く、便が白っぽく水に浮く(脂肪便)といった場合は、膵臓の消化酵素が足りていない可能性があります。自己判断せず、主治医にお伝えください。
慢性膵炎の症状・検査・治療
初期の症状
初期には、みぞおちや背中の鈍い痛み・重苦しさが代表的です。脂っこい食事やアルコールの後に痛みが強くなる傾向があり、腹部の張り、吐き気、食欲不振を伴うこともあります。痛みが軽く「胃の不調」と思い込んで見過ごされるケースも少なくありません。
進行期の症状
炎症が進んで膵臓の働きが低下すると、消化酵素の不足により消化不良・下痢(脂肪便)・体重減少が現れます。さらに進行するとインスリンの分泌も低下し、糖尿病を合併することがあります。一方でこの時期には腹痛がむしろ軽くなる場合があり、「痛みが減った=改善」とは限らない点に注意が必要です。
みぞおちや背中の痛みが繰り返す、原因不明の下痢や体重減少が続く、といった場合は、自己判断せずに消化器内科の受診をおすすめします。
慢性膵炎の進み方(代償期・移行期・非代償期)
慢性膵炎は、進み方によって大きく3つの時期に分けて考えられます。
- 代償期:膵臓の働きはまだ保たれていて、腹痛が主な症状の時期
- 移行期:痛みが徐々に軽くなり、消化・吸収の低下が出はじめる時期
- 非代償期:痛みは目立たなくなる一方で、脂肪便・体重減少・糖尿病が前面に出る時期
「痛みが軽くなった」ことが必ずしも良い変化とは限らないのは、このためです。
慢性膵炎で行われる検査
血液検査(アミラーゼ、リパーゼ、栄養状態、血糖)に加えて、腹部超音波、CT、MRCP(MRIで膵管や胆管を見る検査)、超音波内視鏡(EUS)などで、膵臓の形や膵管の状態、石灰化の有無を確認します。膵臓の働きそのものを調べる検査が行われることもあります。
自覚症状だけでは今どの時期にいるのかは分かりませんので、症状が落ち着いていても定期的な受診を続けてください。慢性膵炎の方は膵臓のほかの病気が見つかることもあるため、定期的な画像検査がすすめられています。
慢性膵炎で行われる治療
- 禁酒・禁煙:進行を抑えるうえで最も重視されます
- 食事療法:病期に応じた脂質の調整。痛みの強い時期は厳しく、落ち着いている時期はやや緩められることがあります
- 消化酵素薬:消化・吸収が落ちてきた時期に、十分な量を食事と一緒に飲みます。「効いていない気がする」ときは、量や飲むタイミングが合っていないことがありますので、主治医にお伝えください
- 痛みへの治療:鎮痛薬のほか、膵管の狭窄や結石がある場合には内視鏡治療や手術が検討されます
- 膵性糖尿病への対応:慢性膵炎にともなう糖尿病は、血糖を上げるホルモンも一緒に減るため低血糖を起こしやすいという特徴があります。一般的な糖尿病と同じ感覚で食事を減らすと危険なことがありますので、必ず主治医の指示に従ってください
膵炎と食事・嗜好品
コーヒー・カフェインは飲んでよいか
コーヒーに含まれるカフェインは胃酸の分泌を促し、膵臓への刺激となり得るため、症状がある時期は控えることが一般的にすすめられています。コーヒーのほか、濃い紅茶・緑茶、炭酸飲料、香辛料の強い食品も同様に膵液の分泌を刺激するとされます。症状が落ち着いている時期の少量については個人差が大きいため、主治医に相談したうえで判断してください。
アルコール・脂質の考え方
慢性膵炎の進行を抑えるうえで最も重要なのは禁酒です。また、脂質は膵液の分泌を強く促すため、痛みを繰り返す時期には脂質制限(目安として1日30g程度まで)が指導されることがあります。制限の程度は病期によって異なるため、主治医・管理栄養士の指導に従ってください。
「膵臓を元気にする食べ物」はあるか
検索でよく見かける言葉ですが、正直にお伝えすると、食べるだけで膵臓の働きが戻ったり炎症が治まったりする食品はありません。できるのは「膵臓に余計な仕事をさせない食べ方」です。膵臓は脂質を消化するときにいちばん働きますので、脂質を抑えることが、そのまま膵臓を休ませることにつながります。
選びやすいもの・控えたいものの目安
| 選びやすいもの | 控えたいもの |
|---|---|
| 白身魚(たら、かれい)、鶏むね肉・ささみ(皮なし)、豆腐、卵白、低脂肪の乳製品 | 揚げ物、天ぷら、脂身の多い肉、ベーコン・ソーセージ、うなぎ、脂ののった魚 |
| ごはん、おかゆ、うどん、食パン(バターを塗らない)、じゃがいも、かぼちゃ | クロワッサン、菓子パン、ドーナツ、インスタント麺 |
| にんじん、大根、かぶ、ほうれん草など、やわらかく煮た野菜 | ごぼう、たけのこなど繊維の強い野菜(痛みのある時期) |
| バナナ、加熱したりんご、ゼリー | 生クリーム、チョコレート、アイスクリーム、ナッツ類 |
| 蒸す・ゆでる・煮る・網焼き | 炒める・揚げる、マヨネーズやドレッシングのかけすぎ |
よくご質問をいただくものについて補足します。
- 納豆:食べていけないものではありませんが、1パック(45g程度)に脂質がおよそ5g含まれます。1日30gの制限があるときは量を意識してください
- マヨネーズ:大さじ1杯で脂質がおよそ9gあります。「ちょっとだけ」のつもりが1日量の3分の1になることがあります
- 乳製品:低脂肪のものを選べば取り入れやすい食品です
- サプリメント・健康食品:膵炎に効くとうたうものは根拠がはっきりしません。飲んでいるものがあれば、主治医と薬剤師の両方にお伝えください
制限の程度は病期によって変わります。ここに書いたのは一般的な目安ですので、実際の量は主治医・管理栄養士の指導に合わせてください。
お腹を温めてもよいか
症状が落ち着いている慢性期に、冷えの対策としてお腹や腰まわりを温めることは、血行を促しリラックスにつながる養生として東洋医学では広く行われています。ただし、強い腹痛・発熱など炎症が疑われる時期(急性膵炎や慢性膵炎の急性増悪期)に温めることは症状を悪化させるおそれがあるため避けてください。強い痛みがある場合は温めるかどうかの判断より先に、速やかな受診が必要です。
膵臓にかかわるツボと東洋医学的ケア
手のひらのツボ
東洋医学では、手のひら中央の「労宮(ろうきゅう)」など、気持ちの張りをゆるめる目的で用いられるツボがあります。お腹ではなく手のひらなので、痛みがあるときでも試しやすい場所です。指の腹で心地よい強さで数秒押す程度で十分です。
手のひらが痛いのは膵臓のサインですか
「手のひらのここが痛いのは膵臓が悪いから」という説明を見かけることがありますが、手のひらの痛みから膵臓の状態が分かるという医学的な根拠はありません。膵臓の炎症で痛むのは、みぞおちから背中にかけてです。手のひらの痛みが続くときは腱や関節、神経によるものが多く、整形外科で確認するほうが向いています。
膵臓のことが心配でこの言葉を検索された方は、ツボを探すより先に、血液検査と腹部の画像検査を受けてください。それがいちばん確実です。
背中やお腹のツボについて
東洋医学では、背中の「脾兪(ひゆ)」「胃兪(いゆ)」、お腹の「中脘(ちゅうかん)」、足の「足三里(あしさんり)」などが、消化の働きと関連づけて語られてきました。ただし膵炎の場合、お腹や背中を強く押すことはおすすめしません。炎症があるときに圧を加えると、痛みが強くなることがあります。
セルフケアとして試すなら、足三里(膝のお皿の下、外側のくぼみから指4本分下)のように、お腹に触れない場所を選んでください。強さは「痛気持ちいい」までにとどめます。
ツボや温めを避けたほうがよいとき
- 強い腹痛がある、発熱している(急性膵炎や急性増悪の可能性があります)
- お腹を押すと痛い、張っている
- 食後に痛みが出ている最中
このようなときは、ツボや温めではなく受診を優先してください。
なお、ツボ刺激はあくまで体調を整える補助的なケアであり、膵炎そのものを治療するものではありません。治療は必ず医療機関で受けたうえで、セルフケアとして取り入れてください。
膵炎に対する漢方的アプローチ
漢方では、慢性膵炎にみられる消化力の低下や冷え、気血の滞りといった状態を体質面からとらえ、消化機能を支え全身のバランスを整えることを目指します。また、急性膵炎からの回復後に「食欲が戻らない」「疲れやすい」「胃腸が弱くなった」といった不調が続く場合にも、体質面から回復を支える目的で漢方を取り入れる方法があります。
病院での治療(禁酒・食事療法・消化酵素薬など)や退院後の指導を前提に、体の状態を整える面から漢方を併用したいという方は、現在の治療内容とお薬の情報をお持ちのうえ、膵炎に伴う体質のお悩み相談(お問い合わせフォーム)からご連絡ください。遠方の方は全国対応のオンライン漢方相談のお申し込みもご利用いただけます。
「膵炎に効く漢方薬」を探している方へ
検索では「膵臓に効く漢方薬」「柴胡桂枝湯 膵臓」「膵炎 四逆散」といった言葉がよく使われています。これらの名前が挙がるのは、みぞおちから脇腹にかけての張りや痛み、胃腸の不調に古くから用いられてきた処方だからです。
ただし、漢方薬は病名で決まるものではありません。同じ「膵炎」と診断された方でも、体力、冷え、胃腸の強さ、眠り、ストレスのかかり方によって考える方向は変わります。処方名を先に決めて当てはめるやり方は、漢方本来の使い方からも外れています。
また、これらの多くは医療用の漢方製剤で、医師の処方が必要です。飲んでいるお薬との兼ね合いもありますので、ご自身の判断で選ぶことはお勧めしません。
相談で伺うこと
伺う順番が決まっています。上から順に確かめていきます。
- 緊急性の有無。いますぐ病院へ行くべき状態かどうかを最初に確認します。上の「すぐに受診してほしいサイン」に当てはまる方には、相談よりも受診をお願いしています
- 受診の有無。すでに消化器内科などで「膵炎」と診断されているのか、それとも「膵炎かもしれない」というご自身の疑いなのか。ここで話の進め方が変わります
- いまの症状。お腹や背中の痛み、みぞおちの重さ、吐き気、下痢(脂肪便)などが、いつから、どのように出ているか
- お薬手帳。病院で出ているお薬、特にカモスタットなどの膵炎の薬や、糖尿病の薬があるかどうか
- お酒とタバコ。普段の飲酒量と、喫煙の有無
そのほか、直近の血液検査の結果、食事の量と脂質の指導内容、体重の変化、眠りや冷えについても伺います。検査結果をお持ちいただけると、話が早く進みます。
そのうえで、病院の治療を続けていただくことを前提に、日常の不調について何ができるかを一緒に考えます。「病院の治療をやめて漢方に切り替える」というご提案はいたしません。
西岡の考え
退院したのに食欲が戻らない、という方へ
膵炎のご相談で多いのが、このお悩みです。原因はひとつではありません。次の3つに分けて考えています。
- 消化の力がまだ戻っていない。入院中の絶食と強い炎症のあとですから、膵臓の働きが十分に回復していないことがあります
- 食べることが怖くなっている。「これを食べてはいけない」という不安や緊張そのものが、食欲をさらに落とします
- 全身のエネルギーが足りていない。病気そのもののダメージと、入院中に落ちた筋力が重なって、体力が戻りきっていない状態です
この3つは重なっていることも多く、どれが大きいかで、お伝えすることが変わります。ですから「何を食べるか」だけでなく、どれくらい動けているか、眠れているかも合わせて伺っています。
膵炎の方が誤解しやすいこと
- 「油(脂質)を完全にゼロにすれば安全」 ― 脂質は体に必要な栄養です。ゼロにすると体力も戻りません。抑えるのであって、断つのではありません
- 「お肉や揚げ物以外なら、お菓子はいくら食べても大丈夫」 ― 洋菓子やスナックには、見えないかたちで脂質が多く含まれます。クリーム、チョコレート、ナッツ、ポテトチップスはその代表です
- 「症状が治まったから、すぐ普通の食事に戻していい」 ― 痛みが引いたことと、膵臓が回復したことは別です。戻すペースは主治医と決めてください
- 「治った(退院した)から、少しなら飲んでも大丈夫」 ― アルコールが原因だった場合、「少しなら」が再発の入口になります
- 「痛みが消えたから、通院や服薬をやめてもいい」 ― 自覚症状は、病気の進み方を正確には教えてくれません
- 「背中やみぞおちが痛まなければ、膵炎は進行していない」 ― むしろ、進行すると痛みが軽くなることがあります
最後の2つは特に大事です。膵炎は、痛みという分かりやすいサインが当てにならなくなることのある病気だと思って向き合ってください。
よくある質問
Q. 慢性膵炎は治りますか?
A. 線維化した膵臓を元に戻すことは難しいとされています。ただし、禁酒と食事管理を続けることで進行を抑えられると報告されており、早い段階で対処するほど膵臓の働きを保ちやすいとされています。漢方薬で線維化が戻るわけではありません。
Q. 痛みがなくなったら治ったと考えてよいですか?
A. 進行期には痛みが軽くなることがあり、改善とは限りません。定期的な検査を続けてください。
Q. コーヒーを完全にやめる必要がありますか?
A. 症状のある時期は控えるのが一般的です。安定期の可否は個人差があるため主治医にご相談ください。
Q. 急性膵炎は退院すれば安心ですか?
A. 再発率が高い病気のため、原因への対処(禁酒・胆石治療)と脂質を控えた食生活の継続が大切です。繰り返すと慢性膵炎へ移行することがあります。
Q. 膵臓を元気にする食べ物はありますか?
A. 食べるだけで膵臓の働きが戻る食品はありません。脂質を抑えて膵臓を休ませる食べ方のほうが現実的です。
Q. 手のひらのツボを押すと膵臓が良くなりますか?
A. ツボ刺激で膵炎が治ることはありません。緊張をやわらげる目的のセルフケアとお考えください。お腹や背中を強く押すことは、痛みがあるときは避けてください。
Q. 退院後、どれくらいで普通の食事に戻せますか?
A. 原因や重症度によって大きく変わります。自己判断で戻さず、主治医・管理栄養士の指示に従ってください。
Q. お酒は少しなら飲んでもよいですか?
A. アルコールが原因だった場合、再飲酒は再発に直結します。やめ続けることが難しいと感じるときは、専門の外来に相談するという方法もあります。
Q. 漢方薬を病院の薬と一緒に飲んでも大丈夫ですか?
A. 組み合わせによっては注意が必要です。必ず、飲んでいるお薬をすべて主治医と薬剤師にお伝えください。
参考文献
日本消化器病学会「慢性膵炎ガイド2023(患者さんとご家族のためのガイド)」https://www.jsge.or.jp/committees/guideline/disease/pdf/suien_2023.pdf(確認日 2026年9月15日)
日本消化器病学会「患者さんとご家族のためのガイド」https://www.jsge.or.jp/committees/guideline/disease/(確認日 2026年9月15日)
本ページは一般的な情報提供を目的としたものであり、診断・治療に代わるものではありません。激しい腹痛など症状がある場合は直ちに医療機関を受診してください。