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痛み

線維筋痛症

「線維筋痛症」という病気をご存じでしょうか。それは、体の広範囲、または一部に強い痛みを感じる病気です。そして、明らかな痛みがあるにもかかわらず、血液、CT、MRIなどの検査では異常なしの結果になるという不思議な病です。医学的にも原因や治療方法が明確になっておらず、認知度も低いため痛みや辛さを訴えても、周囲からの理解が得られにくいという二重、三重に苦しい病気です。

線維筋痛症ってどんな病気?

2003年の厚生労働省研究班の調査では、日本の人口の約1.7%が線維筋痛症であると報告されています。それは、約0.7%が患っている関節リウマチに対して、さらに多い人数、約200万人もが罹っていることからみても、この病気はけして稀な病気ではないということが分かります。

線維筋痛症は、全身に激しい痛みが起こる慢性的な病気です。全体の75%以上が女性で、20~60歳の中高年に多いといわれています。

線維筋痛症の症状は?

線維筋痛症

主な症状は「強い痛み」ですが、その痛みを表現すると「骨が裂けるような」「体に風が当たっただけで痛みを感じる」「ガラスの破片が体内を巡っているかのような激痛がある」、それくらい強い痛みであることがその表現から感じられます。その痛みの範囲は全身、または一部だったり、流動的な場合もあります。これが、この病気の特徴の一つです。

また、随伴症状として、こわばり感、倦怠感、疲労感、睡眠障害、抑うつ、自律神経失調、頭痛、過敏性腸炎、微熱、ドライアイ、記憶障害、集中力欠如、レストレスレッグス症候群などを伴う事もあり、その症状には個人差があります。中には、リウマチや他の膠原病に伴って線維筋痛症が発症している場合もあります。痛みによって眠れないためストレスが溜まり、それがまた痛みを増強させるという悪循環もあるのではと考えられています。

関節や筋肉のこわばりは、膠原病(リウマチ性の病気)の症状と似ています。しかし、それとは異なり関節の腫れや変形といった炎症症状はなく、リウマチ性の病気と区別することができます。

線維筋痛症が重症化すると、普通では考えられないような事でも激痛が走るといいます。例えば、爪や髪への刺激、温度・湿度の変化、音などです。こうなると自力での生活は困難といっても良いでしょう。

これだけ、様々な箇所に痛みがあり、その他の付随する症状も含めて考えると、何科を受診すれば良いのか分からないという方も多いでしょう。また、痛みという明確な症状があるにもかかわらず、検査結果は「異常なし」となれば不安は募るばかりです。様々な病院を受診し「線維筋痛症」という病名が判明するまでに、何ヶ月も要する場合があるようです。

線維筋痛症の痛みは命にかかわることや、後遺症は無いと言われています。しかし、痛みそのものや、痛みによって引き起こされる精神的な部分の辛さから、日常生活に支障をきたしている方は多く、深刻な病気であることは間違いありません。

線維筋痛症の原因は?

原因は解明されていません。現在いわれている有力な説としては、脳の痛みを感じる機能に障害が起きているということです。脳には痛みを伝える機能と、痛みを抑える機能が備わっています。これが何かの原因で上手く機能しなくなり、通常では感じない程度の弱い刺激も、強烈な痛みに感じると考えられています。

このように、痛みの原因が脳にあるため、腕や足など痛みを感じる部分を直接検査しても、異常なしという結果になってしまうのです。

痛みの原因が脳の機能障害ということは上記の通りです。では、脳が機能障害を起こす原因はというと、実はこちらもよく分かっていない部分が多いようです。過労、怪我、病気や妊娠、出産などの肉体的ストレスと、人間関係、介護、離婚などの心理的ストレスがきっかけとなって発症する事が多いと考えられています。

また、線維筋痛症の遺伝についてですが、家族内で発症することは欧米では古くから知られており、一親等の52%(女性では71%、男性35%)に線維筋痛症類似の症状が出現し、家族内発生、家族集積性が存在するといわれています。しかし、明らかといえるだけの直接的な遺伝的関係はないとされ、むしろ環境的な要因が重要であるとされています。


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線維筋痛症の診断の基準

線維筋痛症は上記のように、まだよく分かっていない部分が多いこと、そして、一般的な血液検査や画像検査などでは異常が見つからない病気です。では、どこで「線維筋痛症」と診断されるのでしょう。

3ヵ月以上続く痛み、そして体にある18ヵ所の圧痛点(ツボと高い確率で一致するといわれています)を指で押して、11ヵ所以上で痛みが確認された場合、そして、線維筋痛症を簡易的に診断できる質問票への回答で判断されています。これは、圧痛点が11ヵ所に満たない場合でも、質問票やその他の情報と総合して医師が判断します。

線維筋痛症の痛みのスクリーニング質問票は、インターネットでも見ることができます。体の痛みでお悩みの方はチェックしてみて、不安があるようでしたら医療機関を受診されると良いでしょう。

線維筋痛症の治療方法

誰にでも効くという特効薬はまだありません。しかし、2012年6月22日に、日本では初の線維筋痛症の薬、プレガバリン(リリカ)が「線維筋痛症に伴う疼痛」に対して保険適応の承認を取得しています。適切に使用すると症状を軽減する可能性がありますが、副作用として眠気、ふらつきが出る場合があるため注意が必要です。

食道や胃が痛い、睡眠が思うようにとれない、口や目が乾く、手足や指先が痺れたりするなど、数え切れないくらいの不定愁訴が出ることがあります。そんな場合は、それぞれの症状に合わせた投薬を行い対処します。

また、線維筋痛症は痛みを止めれば良いという考え方ではなく、身体機能全体を底上げすることが必要です。安全性が高く費用があまりかからないで、日常的に自分で行えることを選んでやってみましょう。

薬物療法

非ステロイド性消炎鎮痛薬などは効果が認められないケースがあるということです。痛みで眠れない場合には、睡眠導入剤や睡眠薬を使用するなど、対症療法を行います。

運動療法

自分にあった定期的な運動(ストレッチ、腹式呼吸、太極拳など)を行います。運動をすることで血行が改善し、筋肉の代謝が促されます。また、運動は痛みを調整する物質を増やすといわれています。

認知行動療法

海外では、慢性痛に対して認知行動療法が有効であるという研究が数多く発表されています。「認知療法」「行動療法」を組み合わせ、当面の問題解決に際して、効果的な対処法の習得を目的とした心理療法の一つです。

「認知療法」  「友達と話している間は痛みを忘れていた」、「10分自転車に乗れた」など、それまで「痛みのせいで何もできない」という認識を、「痛みがあってもやれることはたくさんある」という方向に変えていきます。

「行動療法」  ストレッチやウォーキングなど、できる運動から始め、少しずつ増やしていきます。行動と痛みの関係を調べ、行動の種類や量が必ずしも痛みを悪化させているわけではないことが理解できると、痛みの軽減や活動量の増加へと繋がります。

心理療法

線維筋痛症には、心理的・社会的ストレス要因が関係しているといわれています。精神医学の専門家によってその要因を探り、感情的な側面や性格的特性に対してアプローチします。

ヨガ

自分の体の状態、心の状態を見つめながら、無理のない自分のペースで、心地よい呼吸とともに行ないます。ヨガを通して、今の体の状態を確かめながら、無理のない範囲で体を動かしていきます。

マインドフルネス

ストレスへの対処法のひとつとして研究が進められていますが、効果の大きさについては幅があります。アメリカではグーグルをはじめとした大手企業や、政府機関の研修でも取り入れられています。また、日本でもテレビや雑誌で特集が組まれるなど、世界的に大きな注目を集めています。

マインドフルネスは瞑想に近い物で「“今ここ”にただ集中している心のあり方」、つまり雑念を持たず、リラックスしてただ今だけに集中している状態をいいます。その状態は、無理をしているわけではないのでストレスもなく、最も自分の力を発揮できる状態とされています。マインドフルネスでよく用いられるのが姿勢、呼吸、時間の3つを意識して行う瞑想です。

その効果は、雑念を捨てて今この瞬間に深く集中するため集中力が高まる、精神的にも肉体的にも緊張が緩和されストレスが解消される、思考が整理され洞察力、直観力、創造力が高まる、交感神経と副交感神経のバランスが整いよく眠れるようになる、そんな風にいわれています。

鍼灸治療

日本線維筋痛症学会による線維筋痛症診療ガイドラインでは、鍼灸治療の推奨は、B(効果の推定値に中程度の確信があり、行うことを弱く推奨する)とされています。鍼灸治療には、自律神経を調整する働きがあります。痛みが続くと、自律神経(交感神経と副交感神経)の働きが乱れがちになり、様々な不快な症状が引き起こされます。鍼灸治療は、こうした不快な症状への対処のひとつとして用いられています。

また、鍼灸治療には、痛みの伝達を行う中枢神経に働きかける作用があります。中枢神経にアプローチすることで、痛みの伝達経路を正常化させて、痛みを感じやすくなっている脳に対して、過剰に痛みを感じる脳の誤作動を防ぐように働きかけます。

マッサージ

「線維筋痛症診療ガイドライン2017」でも推奨度は低いものの推奨できると記載されています。マッサージなどの筋肉を緩和させる手技療法も効果が期待できます。しかし、必要以上の力強いマッサージを加えると痛みが刺激されてしまうので注意が必要です。ある程度時間をかけ全身の筋肉を緩め、血流を促すことで僅かでも痛みのレベルが軽減されたり、睡眠力向上等の効果が得られれば継続していく価値はあるといえます。


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痛みを和らげる生活

線維筋痛症の症状の一つ「不眠」は、単に眠れないというよりは、「痛み」によって眠りが阻害されてしまうことで起こります。ですから、「痛み」の軽減が「睡眠」の質を良くすることにも繋がります。また、睡眠を確保することは、痛みと付き合ううえで土台になる部分です。

そのためには、夜のカフェインや刺激物の摂取を避けることはもちろんですが、冷えを防止することでも効果を得られます。痛みは寒いと強く感じますから、就寝時は首にタオルなどを巻き、熱を逃がさない工夫をすると、ほどよい保温で痛みが和らぎ睡眠の質が高まります。また、38度くらいのぬるめの半身浴は、体の芯を温められて効果があるといわれています。

線維筋痛症の痛みにより、できるだけ体を動かさない生活になりがちです。これは、筋力や代謝が落ちて逆効果です。定期的に軽い運動を取り入れるのが良いでしょう。ポイントは自分に合った無理のない運動を取り入れることです。

痛みの強さなどは、本人にしかわからない感覚です。動けない、物が持てない、座ることや横になることにも支障をきたすこともあります。周囲にいる人はそれらを全て受け止め、心にかかる負担を軽くできるような環境にすることで、線維筋痛症の痛みの軽減に繋がる場合もあります。

生活の見直し、十分な睡眠、そしてストレスの軽減は、痛みを軽くしQOL(生活の質)・ADL(日常生活の動作)の向上に有効であるといわれています。できることから少しずつ生活に取り入れてみてはいかがでしょう。

冷えを解消するツボ

線維筋痛症の症状は体中の痛みです。

動脈性の冷えは、末梢に十分な酸素や栄養が届かないため、発痛物質が産生されます。また、静脈性の冷えは、末梢からなかなか静脈血がはけていかないため、老廃物だらけの血液が循環することになり、同様に発痛物質が産生されます。水分貯留による冷えは、組織の浮腫が起こるため、狭いところがより狭くなり、これも痛みを生じやすくなります。このように、冷えと痛みには関係があるようです。優しくツボを刺激し、冷えを解消してみましょう。

ツボの押し方

ツボ押しをする前に、肌を傷つけないように爪を短く切っておきましょう。また、手を擦り合わせたり、お湯で温めておくとツボ押しの効果がアップします。

痛気持ちいい程度の強さで押します。お腹の底から息を吐きながら3~5秒間押し、息を吸いながら3~5秒間力を抜きます。1カ所につき5~10回繰り返します。

下半身の冷え・むくみ、女性特有の悩み 三陰交(さんいんこう) 内くるぶしの頂点から指幅4本分上がったところで、骨と筋肉の境目
下半身の冷えやむくみ、疲労回復に 湧泉(ゆうせん) 足指を曲げると第2、第3指の下にできる中央のくぼみ
冷えからくる不眠に 失眠(しつみん) かかとの真ん中
足先の冷えに 気端(きたん) 足指の先端
全身を温め、コンディションを整える 気海(きかい) おへそより指2本分下
手足の冷え・肩こりを改善 合谷(ごうこく) 人差し指と親指の骨が合流する所から、やや人差し指寄りの位置
全身を温め、首やかたのこりを軽減 大椎(だいつい) 首筋の襟があたる部分、骨が出ている部分のすぐ下

■体を温める食べ物と体を冷やす食べ物

漢方薬の種類と効能 – 葵堂薬局で取り扱う生薬の一覧

中国の伝統的な医学に「薬膳」というものがあります。食材が体内に入ったときの性質を、寒、涼、温、熱の4つに分類しています。その4つの性質を『四性』といい、大きく分けて「寒・涼」が体を冷やす、「温・熱」が温める食材です。また、どちらでもない場合は「平性」と呼ばれています。どちらにも属さない「平性」は、米などの穀物や体のエネルギー源になる食材が多いです。

体を温めるのか、冷やすのか、全て理解していれば良いですが、スーパーに行って「どっちだったかしら…?」こんなこともありますから、見分ける方法を知っていれば迷うことはありません。体を温める食べ物を、日々の食事に少しずつ取り入れてみてください。

体を温める食べ物 体を冷やす食べ物
・ニンジン・カボチャ・タマネギ・レンコン・ゴボウ・ジャガイモ・自然薯・玄米・鮭・納豆・キムチ など ・キュウリ・キャベツ・レタス・ナス・ほうれん草・小松菜・タケノコ・梨・スイカ・メロン・パイナップル・アサリ など

育つ環境で見分ける

寒い国では体を温める果物や野菜が育ちます。反対に、南国では体を冷やす食べ物が育ちます。

硬さで見分ける

硬いものは温まり、やわらかいものは冷えます。柔らかい食感の食べ物は水分や油分を多く含んでいるため、体を冷やします。反対に、水分や油分が少なく硬い食感の食べ物は、体を冷やしにくいです。

地面の下、または上で育つものかどうかで見分ける

地中で育つものは体を温め、地上で育つものは体を冷やします。

発酵しているかどうかで見分ける

発酵食品には体の代謝を良くする酵素が入っているため、発酵食品は体を温めます。

お酒は原料で見分ける

お米で造る日本酒や、ブドウで造る赤ワインは体を温めます。反対にビールやウイスキー・焼酎のハイボールは、原料の麦が冷えの原因になります。ビールなら、黒ビールなどの色の濃いものがお勧めです。

肉・魚は赤身と白身で見分ける

肉も魚も赤身は体を温めます。白身や脂身の多いものは体を冷やします。また、えび、かに、貝類などの海の魚介は温まりやすい食材です。

色、形、成分、味で見分ける

色:温まるのは赤、黄、橙、黒、冷えるものは白、青、緑 注意:赤いけど体を冷やすトマトのような例外もあります。

形:小さいもの、丸いものは体を温め、大きいもの、細長いものは体を冷やします。

成分:水分の少ないもの、ナトリウムを含むものは体を温め、水分の多いものやカリウムを含むものは体を冷やします。

味:塩辛さを感じるものは体を温め、酢を使った酸っぱさを感じるものや化学調味料を使ったものは体を冷やします。


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線維筋痛症の漢方治療

漢方では3つの柱、気・血・水のバランスが崩れることで不調が生じると考えられています。中医学では、線維筋痛症の痛みを「お血」(血の滞り)と関連づけて考えることがあります。「血」は体の隅々に栄養を届けます。この流れが滞っている状態を「お血」といい、これにより以下のような状態が起きていると考えられます。

「冷えが体に悪影響を及ぼす」→「お血状態となる」→「栄養の供給不足により体が“痛み”というサインを出す」という流れが体で起こっている状態だと考えられています。漢方相談では、冷えや巡りの状態、睡眠、食事の様子を確認しながら、今の体に合うものを一緒に考えていきます。痛みがどう変わるかには個人差があり、結果をお約束できるものではありません。

漢方相談で候補に挙がることが多いものを、体の状態別に整理すると次のようになります。病名だけで決まるものではなく、同じ線維筋痛症でも選ぶものは人によって違います。

柴胡加竜骨牡蠣湯(さいこかりゅうこつぼれいとう) 精神不安があって驚きやすく、心悸亢進(しんきこうしん)めまい、のぼせ、不眠などある方
黄連解毒湯(おうれんげどくとう) イライラ、不安、のぼせ症状、胃部のつかえ感、目の充血などのある方
柴胡桂枝乾姜湯(さいこけいしかんきょうとう) 血色悪く、微熱、頭汗、盗汗、疲労倦怠感、食欲不振などがあり、臍の部分に動悸のある方
柴朴湯(さいぼくとう) 口が苦くみぞおちのつかえ感があり、のどの違和感、感情不安定、疲労倦怠感のある方
柴胡桂枝湯(さいこけいしとう) 微熱、悪寒し、みぞおちがつかえ、頭痛、関節痛があり、胃痛、腹痛、食欲不振などを伴う方
柴苓湯(さいれいとう) 尿の出が悪い、下痢傾向があり寒気、口が苦くみぞおちのつかえ感のある方
桂枝加竜骨牡蠣湯(けいしかりゅうこつぼれいとう) 頭痛、のぼせ、耳鳴りなどを伴って疲労しやすく、臍(さい)部周辺に動悸(どうき)を自覚する方
加味帰脾湯(かみきひとう) 身体が衰弱して熱があり、不安、動悸、不眠のある方
抑肝散加陳皮半夏(よくかんさんかちんぴはんげ) 体力や抵抗力がない方の精神興奮、不安感、全身倦怠感などがある方
補中益気湯(ほちゅうえっきとう) 胃腸機能減退して、疲労倦怠感、食欲不振があり

その他にも、冷えがあって痛む方に用いられる桂枝加苓朮附湯(けいしかりょうじゅつぶとう)、下半身の冷えが気になる方の桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)、「気」「血」がともに不足していると考えられる場合の十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)、気持ちの高ぶりが強い方の抑肝散(よくかんさん)などがあります。いずれも、その方の体の状態を確かめたうえで選ぶものです。

線維筋痛症の症状は多岐にわたり、体に現れる痛みの程度や場所、範囲など、その他の症状についても皆同じというわけではありません。また、治療方法が確立しているわけでもありませんから、まずは主治医の治療を続けたうえで、体の状態に合うものを薬剤師と一緒に確かめながら絞り込んでいく形になります。ご自身の判断だけで漢方薬を選ぶことはお勧めしません。

鍼、灸、マッサージを取り入れている方もいますが、感じ方には個人差があります。生活の見直し、薬物治療、運動療法、何を始めるにしても、自分に合うやり方を見つけていくことが大切です。

「お血」をもうちょっと詳しく

線維筋痛症は女性に多い病気といわれています。上記にある「お血」ですが、男性でも「お血」による不調が現れる人はいますが、やはり女性に多いのです。

女性は骨盤の底の部分に多くの細かい静脈が集まっています。これは、妊娠時に10ヶ月ほどの期間で胎児を成長させるため、多くの血液を循環させる必要があるからです。このような体の構造の違いにより、女性は男性よりも血(けつ)の滞りが起きやすいといわれています。

「お血」の主な原因は、過度、または長期に及ぶストレス、慢性的な冷え、脂っこい食事です。漢方では、「血(けつ)が滞った場所では痛みが発生する」といわれ、肩こりや頭痛、月経痛なども「お血」によるものと考えられています。他の症状に、めまいや動悸もあります。

食事では、青魚やネギ類、納豆、お酢などが昔からすすめられてきました。特定の食品が症状を治すわけではありませんが、偏りの少ない食事は体調を整える土台になります。また、冷たいものの飲食は体を冷やし、血流を悪化させます。温かいものを摂り、体を冷やさない工夫が必要です。簡単なストレッチやウォーキングも、無理のない範囲で取り入れてみてください。ちょっとした距離なら歩く、階段を使うなど、少しずつ体を動かす習慣が体調の土台になります。ただし痛みが強い日は無理をしないでください。

線維筋痛症の痛みには、消炎鎮痛薬が効きにくいことが多いと報告されています。長く飲み続けると胃腸に負担がかかることもあるため、市販の痛み止めを続けている方は一度主治医にご相談ください。全身の筋肉や関節の痛みが3ヵ月以上続いているときは、まず医療機関で診てもらったうえで、生活や食事の面で何ができるかを一緒に考えます。一人で抱え込まず、漢方の葵堂薬局にもご相談ください。


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