ご相談TOP10 肺の病気
間質性肺炎

間質性肺炎と言われた。病院では「治す薬はない」「経過を見ましょう」と説明された。それで漢方を調べ始めた。そういう方が、このページに来られます。ご本人ではなく、ご家族が探していることもあります。
先にお伝えします。漢方薬で間質性肺炎そのものを治すことはできません。硬くなった肺が元に戻るわけでもありません。まず呼吸器内科の治療を続けてください。そして、安静にしていても息苦しい、酸素の値が下がる、唇が紫色になる、血痰が出るといったときは、その日のうちに受診してください。そのうえで当店が伺うのは、食事がとれているか、眠れているか、体重が減っていないか、風邪をひきやすくなっていないか、そして今どんな薬を飲んでいるかです。
もう一つ、先にお伝えしたいことがあります。漢方薬そのものが間質性肺炎の原因になることがあります。これは実際に報告があり、国から注意が出ているものです。「肺によさそうだから」と自分で買う前に、この記事の該当の節を読んでください。
この記事では、受診の目安、間質性肺炎とは何か、病院での検査と治療、漢方薬と薬剤性の間質性肺炎、漢方相談でどこを見ているか、中医学の考え方、生活で整えることを順に整理します。読み終えるころには、病院と漢方相談のどちらに何を頼めばよいかが分かります。
このページの内容
- すぐに受診してほしいサイン
- 間質性肺炎とは
- 原因として分かっていること
- 病院での検査と治療
- 漢方薬が間質性肺炎の原因になることがあります
- 病院の治療を続けながら、漢方でどこを支えられるか
- 相談で伺うこと
- 中医学では肺をどう捉えるか
- 食事・睡眠・生活で整えること
- 西岡の考え
- よくある質問
- 自分の場合を整理してほしい方へ
すぐに受診してほしいサイン
次のどれかがあるときは、様子を見ずに、その日のうちに受診してください。夜間や休日であれば救急への連絡も考えてください。
- 安静にしていても強い息苦しさがある
- パルスオキシメーターの数値(SpO2)が90%未満を繰り返す、または急に大きく下がった
- 唇が紫色になる(チアノーゼ)、意識がぼんやりする、会話が難しい
- 強い胸痛、失神、血痰がある
- 発熱と息切れが急に悪化している
間質性肺炎は、ゆっくり進むことが多い一方で、急に悪くなることがあります。感染がきっかけになることもあります。「いつもの息切れの延長かどうか」で迷ったときは、受診する側に倒してください。
パルスオキシメーターをお持ちであれば、調子のよいときの数値を控えておいてください。ふだんの値を知っていると、下がったかどうかの判断がしやすくなります。
間質性肺炎とは
肺は、酸素を取り込む小さな袋(肺胞)が集まってできています。その袋と袋のあいだを支えている部分を「間質」といいます。ここに炎症が起き、線維化といって硬く厚くなっていくのが間質性肺炎です。
硬くなると肺はふくらみにくくなり、酸素も取り込みにくくなります。そのため、次のような症状が出ます。
- 痰のからまない乾いた咳(空咳)が続く
- 階段や坂で息が切れる。進むと、着替えや入浴でも切れる
- 疲れやすい、体重が減る
- 進んだ場合、指先が太鼓のばちのように丸くなる(ばち指)
原因が分からないものをまとめて特発性間質性肺炎と呼び、難病情報センターの解説では7つの疾患に分類され、その中に特発性肺線維症(IPF)が含まれると説明されています。
原因として分かっていること
原因がはっきりしているものと、そうでないものがあります。
| 分類 | 背景 |
|---|---|
| 特発性 | 原因が分からないもの。遺伝的な背景と環境の影響、肺胞の細胞が繰り返し傷つくことが関わると考えられています |
| 膠原病にともなうもの | 関節リウマチ、強皮症、多発性筋炎・皮膚筋炎など |
| 薬剤性 | 飲んでいる薬が原因になるもの。漢方薬も含まれます(次の節) |
| 吸い込むもの | 粉じん、アスベスト、カビ、鳥の羽毛やふん(過敏性肺炎) |
| 放射線 | 胸部への放射線治療のあと |
難病情報センターは、特発性肺線維症では喫煙がもっとも重要な危険因子とされていると説明しています。吸っている方は、まず禁煙を主治医に相談してください。羽毛布団や鳥を飼っている環境も、受診のときに伝えてください。
病院での検査と治療
胸部X線、胸部CT(高分解能CT)、血液検査、呼吸機能検査、6分間歩行試験などで調べます。必要に応じて気管支鏡や外科的な肺生検が行われることもあります。
治療は、原因と型によって変わります。炎症が主であればステロイドや免疫抑制薬、線維化が進むタイプには抗線維化薬が使われます。酸素が足りなければ在宅酸素療法、呼吸リハビリテーション、感染予防のワクチンも重要な柱です。
難病情報センターの解説では、特発性間質性肺炎には確立された有効な治療法(根治療法)はなく、長期の経過観察が必要とされています。厳しい説明ですが、ここを共有したうえで話を進めたいと思います。治す方法がないということと、できることが何もないということは、同じではありません。
指定難病に該当する場合は医療費助成の対象になることがあります。主治医か、お住まいの保健所に確認してください。
漢方薬が間質性肺炎の原因になることがあります
ここは、漢方薬局として必ず書いておきたいところです。
漢方薬の副作用として、間質性肺炎が起こることがあります。小柴胡湯では、服用した方に間質性肺炎が起こり、亡くなった方もいたことから、1996年に国から緊急安全性情報が出されました。その後も報告が続き、使用上の注意がくり返し見直されています。
小柴胡湯だけではありません。オウゴン(黄芩)という生薬を含む漢方薬で報告があり、柴苓湯、柴朴湯、清肺湯などが挙げられます。「肺」という字が入っているから肺によい、というものではありません。
PMDA(医薬品医療機器総合機構)の重篤副作用疾患別対応マニュアルでは、薬剤性の間質性肺炎について、飲み始めてから比較的早い時期に、発熱、乾いた咳、息切れといった症状が出ることがあると説明されています。
お願いです。飲んでいる漢方薬を、すべて教えてください。病院で出されたもの、ドラッグストアで買ったもの、通販で買ったもの、ご家族がすすめたもの。当店で扱っていないものでも構いません。何を飲んでいるかが分からないまま、新しいものを足すことはできません。
そして、漢方薬を飲み始めてから、熱が出た、乾いた咳が出るようになった、息切れが強くなった。このときは、自己判断で続けず、中止して主治医に相談してください。
病院の治療を続けながら、漢方でどこを支えられるか
はっきりさせておきます。漢方薬で線維化した肺が元に戻ることはありません。病院の治療が土台で、そこを動かすことはしません。
そのうえで、漢方相談で見ているのは、病院の治療が扱う部分の周りにあることです。
日常の負担がどこで強くなるか
咳、痰、動いたときの息切れ。同じ「息切れ」でも、朝がつらい方、入浴でつらくなる方、しゃべると苦しくなる方がいます。どの場面で強くなるかを伺い、一日の組み立てを一緒に考えます。咳が続くと体力を削り、眠りも浅くなるので、まずそこから見ます。
体力の消耗と、食べられているか
体重が減っていないか。食欲はあるか。息が切れると食事に時間がかかり、食べる量が減ります。減ると筋肉が落ち、さらに動けなくなります。この流れを止めることが、日常を送るうえでの土台になります。血液検査の結果をお持ちであれば、栄養の状態も一緒に見ます。
風邪をひきやすくなっていないか
感染は、急に悪くなるきっかけになります。手洗い、人混みを避けること、ワクチン。基本的なことですが、主治医の方針を確かめたうえで、生活の中でどう続けるかを一緒に決めます。
漢方薬は、こうして伺った内容をもとに、その方の状態に合わせて選びます。飲んでいる薬をすべて確認し、一緒に使ってよいかを確かめてからです。病院の薬を減らす目的では使いません。
相談で伺うこと
お手元に用意していただけると、話が早く進みます。
| 伺うこと | 具体的に |
|---|---|
| 診断の内容 | いつ、どのように言われたか。病名が付いているか |
| 今の治療 | 飲んでいる薬、在宅酸素の有無、通院の間隔 |
| 飲んでいるものすべて | 処方薬、市販薬、漢方薬、サプリメント。他店・通販のものも |
| 息切れの出方 | どの場面で強くなるか。以前と比べてどう変わったか |
| 咳と痰 | 乾いた咳か、痰がからむか。夜に強いか |
| 食事と体重 | 食べられているか。体重が減っていないか |
| 睡眠 | 眠れているか。咳で目が覚めるか |
| 検査の結果 | 血液検査、呼吸機能検査の数値。お持ちの範囲で |
中医学では肺をどう捉えるか
中医学の肺は、西洋医学の肺そのものではなく、呼吸と、体を巡る気をつかさどる働きを指します。また、皮膚や粘膜を守る力とも結びつけて考えられ、乾燥に弱い臓とされています。
たとえるなら、肺はスポンジのようなものです。適度に潤っていれば柔らかくふくらみますが、乾くと硬くなり、動きが悪くなります。中医学が「潤い」を大事にするのは、この見方からです。硬くなったところを元に戻すという意味ではありません。
相談では、次のような見方をします。
肺気虚(はいききょ)
気とは、体を動かす力やエネルギーを指す言葉です。それが肺で足りない状態を肺気虚といいます。手がかりは、息切れ、声が小さくなる、少し動くと汗が出る、風邪をひきやすい。間質性肺炎の相談でいちばんよく見ます。
肺陰虚(はいいんきょ)
陰とは、体を潤す働きを指します。それが足りない状態です。手がかりは、痰の出ない乾いた咳、切れにくい少量の痰、口や喉の渇き、夜に咳が強くなること、手足のほてり。
脾肺気虚(ひはいききょ)
脾は、中医学で消化して体を養う働きを指します。肺の不足に、消化の力の低下が重なった状態です。手がかりは、食欲がない、体重が減る、疲れやすい、下痢しやすいこと。食べられなくなっている方は、ここを先に見ます。
瘀血(おけつ)
血の流れが滞った状態です。手がかりは、唇や舌の色が暗い、ばち指、顔色がくすむこと。長く続いている方に重なって見られます。
これらは一人に一つとは限りません。相談では、土台の不足と、表に出ている滞りを分けて考え、どちらから手をつけるかを決めます。漢方薬を病名から選ぶことはしません。年齢、体格、胃腸の状態、飲んでいる薬を確かめたうえで考えます。
食事・睡眠・生活で整えること
禁煙。吸っている方は、まずここを主治医に相談してください。受動喫煙も避けてください。
食べる量を落とさない。一度に食べられないときは、回数を分けてください。息切れで時間がかかるなら、食べやすいものから。体重を定期的に量って、減っていないかを見てください。
たんぱく質。肉、魚、卵、大豆製品。体力が落ちると、まずここが不足します。
部屋の乾燥。空気が乾くと咳が出やすくなります。加湿と、こまめな水分。ただし心臓や腎臓の状態によって水分の目安は変わるので、主治医に確認してください。
感染を避ける。手洗い、人混みを避けること、ワクチン。主治医の方針に従ってください。
動きすぎず、動かなすぎず。息切れが怖くて動かずにいると筋肉が落ちます。呼吸リハビリテーションを勧められている場合は続けてください。どこまで動いてよいかは、主治医に確認してください。
眠り。咳で目が覚める、横になると苦しい。こうしたことがあれば、寝る姿勢や枕の高さを含めて相談してください。
西岡の考え
間質性肺炎の相談で、私が「これで治ります」と言うことはありません。言えないからです。病院の治療が中心にあり、その周りで何を支えられるかを考える。それが漢方相談の役割だと考えています。
実際に伺っていて多いのは、食べられなくなっていることと、風邪をひきやすくなっていることです。息切れで食事に時間がかかり、量が減る。体力が落ちる。感染しやすくなる。この流れをどこかで止められないか、というところを一緒に見ています。
もう一つ。漢方薬が間質性肺炎の原因になることがある、という話を、相談の場で必ずお伝えしています。漢方薬局が自分から言うことではない、と思われるかもしれません。ですが、他で買ったものを飲んでいる方に会うことがあり、そのまま黙っているわけにはいきません。安全に使っていただくために、先にお伝えしています。
よくある質問
間質性肺炎に効く漢方薬はどれですか
病名から決まるものではありません。同じ診断でも、体力、食欲、咳の出方、飲んでいる薬によって、選ぶものが変わります。そして、漢方薬が間質性肺炎の原因になることもあるため、自分で選んで買うことは特に勧められません。
病院の薬と漢方薬を一緒に飲んでもいいですか
飲んでいる薬をすべて教えていただいたうえで確かめます。自己判断で組み合わせないでください。病院の薬を自分の判断で減らしたりやめたりすることも、しないでください。
肺の線維化は元に戻りますか
硬くなった部分が元に戻るとは考えられていません。ですから、どこまで進まないようにするか、残っている力でどう日常を送るかが、話し合う中心になります。
漢方薬を飲み始めてから咳が増えた気がします
すぐに中止して、主治医に相談してください。発熱、乾いた咳、息切れが飲み始めてから出た場合は、薬が原因のことがあります。我慢して続けないでください。
家族が診断されました。何をすればよいですか
受診に付き添えるときは付き添って、説明を一緒に聞いてください。そして、食事の量と体重、息切れの変化を見ていてください。ご本人は慣れてしまって気づきにくいことがあります。
自分の場合を整理してほしい方へ
このページの要点は三つです。漢方薬で間質性肺炎を治すことはできず、病院の治療が土台であること。漢方薬そのものが原因になることがあるので、飲んでいるものをすべて確認する必要があること。そのうえで、食事、体力、感染予防という日常の土台を一緒に整えていくこと。
今日からできることは、体重を量って記録すること、ふだんのSpO2の値を控えておくこと、飲んでいるものを全部書き出すことです。
そのうえで、何から手をつければよいか分からない、という方へ。三つの入口を用意しています。
まず質問だけしたい方。飲んでいるお薬の一覧や血液検査の結果をお持ちでしたら、そのままLINEでお送りください。
何から確認すればよいか整理したい方。上の表に答えを書いてお持ちください。順番を一緒に決めます。
じっくり相談したい方。オンライン漢方相談は、全国どこからでもお受けしています。所要は一時間ほどです。ご家族だけでのご相談も承ります。
治療中の方は、漢方薬を足す前に必ず主治医・薬剤師にお伝えください。
参考文献
- 難病情報センター「特発性間質性肺炎(指定難病85)」https://www.nanbyou.or.jp/entry/302(確認日 2026年9月15日)
- 医薬品医療機器総合機構(PMDA)「重篤副作用疾患別対応マニュアル 間質性肺炎(肺臓炎、胞隔炎、肺線維症)」https://www.pmda.go.jp/files/000279376.pdf(確認日 2026年9月15日)
- 医薬品医療機器総合機構(PMDA)「医薬品等安全性情報 No.146」https://www.pmda.go.jp/safety/info-services/drugs/calling-attention/safety-info/0147.html(確認日 2026年9月15日)